日本では年々平均寿命が延びており、「人生100年」といわれる時代。
昨今、転倒や歩行能力の低下は健康寿命を縮める大きな原因とされている。
「足を悪くしてしまうと将来歩けなくなる」そんな思いをのせた中高年を中心に、年々足への意識が高まっている。
普段何気なく選んでいる靴が、自分に合ったものに変わるだけで健康に繋がると聞くと、良い靴を選びたいもの。
11月19日(火)のガイアの夜明けでは、「第2の心臓」と言われる”足”を守る靴を作るメーカーの発の裏側に迫る!
足が第2の心臓を呼ばれる理由とは?
足が「第2の心臓」とよばれる理由は、足が血液を送り出す”ポンプ”のような役割を果たしているから。
心臓から送り出された血液が足まで運ばれた後、また心臓の方へ送り出される。
その動きを行っているのが、足の筋肉なのである。
そのため、足は身体にとって非常に重要な役割を担っており、「第2の心臓」と呼ばれているのだ。
足の筋肉を鍛えたり、足をマッサージしてむくみを取り、血の巡りを良くすることは血液循環をサポートできる。
老舗企業「アキレス」が、足の負担を減らす靴を開発
さまざまなシューズメーカが激闘を繰り広げる中、独自の技術開発の熱が高まっていた。
1947年5月に設立し、70年以上も靴に力を注いできた老舗企業「fa-arrow-circle-right株式会社アキレス」は、かつて子供向けの足が速くなるスニーカー「瞬足」を生み出した。
「瞬足」は2003年から累計7000万足を販売する子供靴のヒット商品となっていたが、他社の新しい開発により競争が激化。
現在のアキレスの靴の売り上げは、なんとピーク時の6分の1にまで減少してしまっていた。
これまでアキレスの売り上げと成長はシューズ事業が支えてきたが、現在はシューズの売り上げは約15%で、ゴムボートや車の内装などに使われる素材の事業部門が売り上げの約85%を占めている。
「圧力分散」「総劇吸収」する素材“ソルボセイン”を使用した靴の開発に成功!
シューズ部門は体制を立て直すために新商品の開発に力を入れ、現在は「歩いても疲れにくい」をコンセプトに大人向けブランド「アキレス・ソルボ」を展開している。
アキレスの強みを生かして圧力分散・衝撃吸収に優れた素材を使い、足への負担を減らすことに成功した。
「歩いても疲れにくい」のターゲットは”40歳以上”。
足が速くなるスニーカー「瞬足」とは異なったターゲット層を獲得しに行く。
瞬足の次なるヒット商品を作るべく、シューズ部門の再建を託されたのは、営業部の坂本さん。
坂本さんは高齢者の動向や市場調査のために東京・巣鴨を訪れた。
しかし、人気の靴屋で売れ筋としてピックアップされているのは、競合会社や海外製の商品ばかり。
足にフィットした歩きやすい靴を研究していてもライバル企業の進出もあり、工場での生産数は全盛期の10分の1。
「アキレス・ソルボ」の売り上げは前年比の93%を割り、一時休止するまで事態は悪化していた。
歩きやすい靴の開発を求めて、足と靴の研究を進める「新潟医療福祉大学」
「どうすれば、アキレスの商品がもっと売れるのか」
上司とともにfa-arrow-circle-right新潟医療福祉大学を訪れた坂本さんは”足”と”靴”の研究をしている阿部教授にアキレスソルボを売るためのポイントの助言を受けた。
阿部教授は「痛みがなく問題がない人は現状を維持するため。予防のために今の現状を40・50代に持っていく、“予防シューズ”や“健康状態延伸シューズ”を売り出してはどうか」と言う。
「40・50代の人の足は100%壊れてはいないが、調子は悪い」そんなヒントをもとにアキレスのターゲットを高齢者から“老化の始まり”と言われる40代からのシフトすることにした。
さらには、これまでにない新しい客層を掴むためのイベントの開催を決定。
切り札になるのはアキレスの持つ「足圧測定器」だ。
体重計のように乗るだけで、足にかかる圧力や、足のサイズや幅のほか、重心・バランスなどのデータすぐに分析できる。
この「足圧測定器」が蓄積したこれまのデータをもとに“足”にある傾向について調べることにした。
足に優しい靴とは?足をタイプ別に分けて顧客の傾向をキャッチ!
アキレスは「足圧測定器」を利用して顧客の足の傾向をチェック。
足の加圧がどの辺りにかかっているのか「足裏のタイプ」を診断し、足圧分析チャートによって取扱商品のどの靴が適しているのかを勧めることができる。
アキレスソルボの強みはこういった足裏のタイプ別に対応したソールが13種類もあることだ。
ガイアの夜明け案内人の江口洋介さんも「足圧測定器」による測定を行い、自分に合った革靴を履いてみると「(革靴なのに)軽いスニーカーのようで履きやすい」と絶賛。
アキレスはアライメント(骨のバランス)が崩れているのを治して、その上でしっかり歩くということを勧めている。
日本で唯一、足に特化した予約3ヶ月待ちの総合病院「下北沢病院」とは?
最近では、医師も「靴」の重要性に注目している。
東京・下北沢にある“fa-arrow-circle-right下北沢病院”は、足に特化した日本で唯一の総合病院だ。
外反拇指から下肢静脈瘤まで足に悩みを持つ患者が訪れ、予約は3カ月待ち。
患者が後を絶たない人気の病院を束ねるのが、医師であり理事長の久道さん。
久道さんは「高齢になっても歩き続けられること」が健康寿命を延ばすこと繋がると考えており、その人に適した中敷きを入れることで痛みを軽減できるが、中敷きや靴の選択を間違えている人もかなり多いという。
足の専門医と「グンゼ」がタッグを組み、新たなルームシューズを開発
高齢者の転倒事故が後を絶たないが、その転落事故は実はおよそ5割以上が家の中で起きている。
久道さんは企業とコラボして“「転倒防止」、「歩行支援」を目的に新しいルームシューズ”を開発したのだ。
久道さんとタッグを組むのは、繊維製品メーカー「fa-arrow-circle-rightグンゼ」。
グンゼにとっても初の試みとなる高齢者向けのシューズを作り。
商品開発を任されたグンゼの城取さんが持参したのは、インソールや靴下の技術を活かして作成したデモサンプル品。
久道さんは早速インソールをチェックし、「この柔らかさだと厳しい」と注文を付けた。
しかし、靴下の技術を活かして作成したデモサンプル品は、「靴下ならではの快適性に、(中敷きで)足のアーチを支えて歩行を正すことを加えると今までにないものができるかもしれない」と期待する。
「転倒防止」「歩行支援」のルームシューズは11月下旬に発売予定
会議から3か月後、改良を重ねて完成したルームシューズのサンプル品が出来上がった。
久道さんから注文を受けた「柔らかすぎる」という点を改善し、普通に立たせてもへたらないように強度を改良した。
中敷きは土踏まずを支えられるように適度に固く、つま先は転倒防止のため少し反り上げる形になった。
改良を重ねたルームシューズの履き心地は合格点を得た。
実際に高齢者にルームシューズを履いてもらったところ、“履き口が小さく足が入らない”という事態に。
適度にゆとりが出るよう、履き口を改良し、高齢者が一人で履くことができるルームシューズへのゴールが見えてきた。
このルームシューズは、11月下旬に約3000円で販売される予定だ。
「健康であり続けたい」という人間の心理をテーマにした今週のガイアの夜明け。
「第2の心臓」と言われる”足”を守る靴に出会えることで、あなたの健康寿命の延伸になるかもしれない。
普段何気なく靴を選んでいるという方は、これを機に靴を見直してみてはいかがだろうか。