
今週のガイアの夜明けでは、話題の商品「バーミキュラ」を製作する町工場を調査。
高価格でも人気を集める理由や、技術の壁を越えて挑戦を続ける現場に密着する。
新たに開発している調理器具の開発の様子に迫る!
目次
話題沸騰!人気の調理器具「バーミキュラ」とは?
今、普通の鍋と比べると値が張るのにも関わらず、人気が爆発している調理器具がある。
それが、鋳物ホーロー鍋の「バーミキュラ」だ。
一体、バーミキュラとは何なのだろうか。
バーミキュラとは
バーミキュラを使った鍋って調理すると「素材本来の味を生かした美味しい料理が誰でも簡単に作ることができる」と話題になっているという。
どうしてバーミキュラの鍋で作ると素材を生かした美味しい料理ができるのかというと、バーミキュラの最大の特長である“ふたと鍋本体の間の密閉性”にあった。
「バーミキュラ」で大ヒットの町工場“愛知ドビー”
町工場は、元請けからの発注数の低下や値下げ要求などにより、大きく売り上げを左右される。
そんな中、町工場である「fa-arrow-circle-right愛知ドビー」は自社の強みを生かして自社製品の開発を行い、成功していた。
愛知ドビーは1936年より愛知県名古屋市に本社を構える老舗鋳造メーカーで、 従業員数は250名(2019年4月現在)。
もともと鋳物工場として長年続いていたが、3代目社長・土方邦裕さんと弟であり副社長の智晴さんが、2010年よりバーミキュラを開発し、販売を始めた。
バーミキュラを販売した当初は下請けの仕事と並行し、販売していたが、バーミキュラが大ヒットした今では、バーミキュラの製造に一本化している。
3代目として会社を急成長させた土方兄弟は更なる飛躍のため、新たな開発を行っていた。
バーミキュラビレッジでは何ができる?
バーミキュラを製作する「fa-arrow-circle-right愛知ドビー」は自社製品のブームに乗り、名古屋市に12月3日に体験型複合施設「fa-arrow-circle-rightバーミキュラビレッジ」をオープンした(プレリリースは2019年6月18日)。
バーミキュラビレッジでは、”バーミキュラ”の全てが体験できるというが、それはどういうことだろうか。
バーミキュラビレッジでは、中にお店やレストラン、料理教室などを行っているが、例えばレストランでは提供される料理は全てバーミミュラを使った器具で調理されている。
また、ここでしか購入できない限定品も販売しており、オープン以来連日大盛況だ。
無水鍋を超える新たな商品開発「バーミキュラフライバン」に挑む!
4月上旬、土方兄弟は本社で新製品の開発会議を行っていた。
無水鍋を皮切りに、次なるヒット商品を生み出そうと楕円形のオーバル鍋や食パンの焼き型など、さまざなま開発中の新製品が並んでいた。
そんな中、土方兄弟が最も目を付けたのは「フライパン」だった。
フライパンといえば、安いものであれば数千円から購入できる低価格なアルミや鉄製が市場に出回っており、購入時のポイントとされるのは“軽さ”。
家庭でと調理する際に重いフライパンだと負担がかかるため、軽い構造のフライパンが好まれる。
しかし、バーミキュラは重たいのでフライパンを作るのに向いているとは言えない。
土方兄弟は、フライパンを次なる主力商品とするべく、薄さにこだわり開発へと取り掛かる。
「軽さ」への挑戦ともいえるデザインを託されたのは、2017年に入社した松本さん。
かつてレーシングカーを開発したこともある敏腕デザイナーだ。
未だかつて挑戦したことのない鋳物のフライパンの開発にあたり、問題点となったのはやはり軽量化。
フライパン自体を軽くするために薄く製作する必要がある。
松本は、通常のバーミキュラの鍋の厚みの半分である厚さ1.5ミリを目指す。
“第二のバーミキュラ”を目指す「中村製作所」の挑戦!
バーミキュラでヒット商品を生み出そうとしているのは、愛知ドビーだけではない。
“第二のバーミキュラ”を目指すのは三重県四日市市に本社を構える「fa-arrow-circle-right中村製作所」だ。
1969年に設立した中村製作所は従業員数55人。
中村製作所はロケットや潜水艦などにも使われる精密部品の製作を得意とする町工場だ。
そんな中村製作所が開発したのは、余熱調理ができる土鍋「ベストポット」(2万3100円~)。
ベストポットは四日市の伝統工芸品である「萬古焼(ばんこやき)」をもとに、削ることにより蓋と鍋の隅間をなくし、高い蓄熱性能を実現した土鍋だ。
社長の山添卓さんは大学卒業後、父の跡継ぎとして入社した。
中村製作所は「1000分の1mm単位までできる」精密さが売りだという。
そんなベストポットは余熱で調理できることが売りの商品。
使用者からは「魔法の鍋」と呼ばれるほどだ。
1年半で約4000個販売した「ベストポット」次なる試練は「IH対応」?
ベストポットは、1年半で約4000個を販売している。
しかし、会社の主力商品にするためにはまだまだ売り上げが必要。
知名度を向上させるために定期的に料理体験会などを開催していたが、その中で「IH対応」を望む声が多く寄せられていることに気付いた。
近年、若者世代を中心にIHを利用するキッチンが増加しているのだ。
そのため、IH利用者にとって「ベストポット」を魅力に感じでもIH対応でなければ買うことができない。
IH対応である「ベストポット」にニーズを感じた山添さんは、IH対応ベストポットの開発に取り掛かった。
IHと土鍋は相性が悪い!?「ベストポット」保温への課題
IH対応のベストポットの開発で問題となったのは、「保温性」だった。
ガス火対応のIHは1時間たっても70度を保っていることができるので余熱調理が可能だが、IH対応にすると57.5度に落ちてしまう。
この温度では余熱調理することが出来ないのだ。
そこで、鍋底の一部にステンレスを利用し、加熱力をアップすることにした。
そうすると沸騰1時間後も69.6度を保つことができ、余熱調理が可能となった。
土鍋とIHは非常に相性が悪いと言われている中で、IH対応に成功したのだ。
値段こそ張るが、人気のある「バーミキュラ」。
消費者は値段よりも良い質を求めるようになっているのかもしれない。
フライパンは安価なモノという概念をひっくり返すバーミキュラ。
次にヒットする商品が楽しみだ。