「日本は投資リテラシー(投資の知識・情報を正しく理解し、判断できる能力)が低すぎる、これは大きな問題です」そう警告するのは株式会社LOGOSキャピタルパートナーズ 代表取締役 伊藤武氏です。数々の企業役員を歴任し、日本・アメリカの金融全般に精通する伊藤氏は「投資の本質」を伝えるべく、精力的に活動しています。
今回は伊藤氏から見た日本の問題点、そして投資のあるべき姿についてお伺いしてきました。
LOGOSキャピタルパートナーズとは
市場の原理に従い、投資効率を上げる提案で顧客をサポート
当社は2019年に設立した投資顧問会社です。社名のlogos(ロゴス)とは、古代ギリシャ哲学で「万物を支配する理法」という意味で、投資の世界もこの定義のもと移り変わっています。当社では証券市場の普遍的な習性に従いながら、顧客本位の投資助言を目指しています。
投資で重要なのは、効率を上げることです。複数の投資対象に分散投資をすることでリスクを軽減し、投資全体の効率を引き上げられます。アメリカを中心とした主要国や新興国の投資商品を複数組み合わせ、少額でも投資市場全体を捉えられるポートフォリオ案を提案します。
ポートフォリオの特長
当社の基本ポートフォリオはETF(上場投資信託)を対象に、投資配分を世界に分散したものです。指数投資以外に一部個別株や債券投資を組み入れて、全体的なリスクを軽減しながら時系列的に効果を上げ、長期的に高いパフォーマンスを目指します。
質の高いポートフォリオの構築には、息の長い投資を実現するファンドや投資運用会社が求められます。一般の公募投信は別ですが、世界には特定目的のファンドが多数存在します。残念ながら、日本の個人投資家はこれら大半に投資することができません。
しかし、当社メンバーはアメリカを中心に多くの優秀なファンドマネージャーと交流があります。通常、世界有数のファンドを利用できるのは大手機関投資家ですが、当社ではこうしたネットワークを駆使し、お客様にも優良な金融商品をご紹介できる体制を構築します。
日本の金融は大きく遅れている
日本の金融は30年遅れ
私は調査部長当時日本人初のニューヨーク証券取引所スーパーバイザリー・アナリストになり、通算50年にわたり国際金融業務に携わってきました。だからこそ思うのは、日本の金融業全般はアメリカと比べて30年遅れています。両国の金融資産運用体制は1980年代初期まで規模の差はあっても業態は似ていましたが、それ以降は圧倒的な差がついてしまいました。これは、日本の金融界の投資に対する理解の欠如が原因と言えるでしょう。
問題点は「投資に対する理解の低さ」と「リスクへの拒否反応」
大変遺憾に思うのは、日本の投資リテラシーの低さです。私から言わせれば、ほぼゼロに近い。残念なことに、とりわけ低いのが金融業従事者です。原因として、金融機関のビジネスモデルが挙げられます。証券会社等の販売会社は手数料が主な収益であるため、目先の利益を求めざるを得ない収益構造です。これにより、投資の本質である「長期的な資産形成」を理解せず「投資商品=短期収益」との考えが浸透し、投資のあるべき姿が広がらないのでしょう。
加えて、投資に対して消極的である日本の国民性も、正しい投資への理解を妨げる原因と考えられます。日本では「みんな平等であるべき」という考えが正しいとされ、差が生まれることは良くないと考えられています。また、お金でお金を稼ぐことを「正当ではない」と思う人も多いのでしょう。
例えば、投資によって10年で元金が倍になると聞いたら、大抵の日本人は「どうしたらそれができるの?」と考える前に「怪しいことをしているのでは?」と疑心暗鬼になってしまう。それが「投資=ギャンブル」というイメージを広げる一因になっていると考えられます。日本人は損失への拒否心理が強く、損をするくらいなら安泰である銀行預金を選んでしまう傾向が高いのです。
日本人の国民性は『ナッジ(背中 を軽く押す)』(和訳書:『実践行動経済学』)の著者である行動経済学者 リチャード・セイラー教授の理論に当てはまります。人間はすべきことを知りながらも、面倒と思うことに躊躇してしまう。投資はリスクをとってリターンを得られるものですが、損することに必要以上に拒否反応が出てしまうのが日本の国民性と言えるのでしょう。
投資を正しく理解することが自分自身を救う
しかし、預貯金だけをすればいいという概念は覆りました。きっかけは、2019年に世間を賑わせた金融庁の報告書による「老後2,000万円問題」です。これにより、老後資金への不安と共に、自助努力の必要性が一気に高まったと言えます。
日本は富裕層人口が世界3位であるにも関わらず、老後資金に不安が付きまとっていました。政府は国造りに専念するべく消費や物的資産形成を優先し、国民の老後の福利厚生を後手に回した結果、将来が見えない年金運用体制のままできてしまったのです。
政府もこのままでは危ないと、近年企業に確定拠出年金の導入、金融機関にはNISAや個人年金制度 iDeCoの販売を促しています。着手はされていますが、後者に関しては金融機関が積極的に販売しているかというと疑問が残ります。なぜなら金融機関にとっては儲けが少なく、旨味がない商品だからです。だからこそ、個人が投資に対して正しい知識を持って、自分に合う投資を選んでいかなければなりません。
手堅く収益を確保するなら積立投資
投資を恐れてしまうのは、短期で儲けようとするからです。長期で行って資産を増やしていくのが投資の本来の姿。手堅く、確実に資産を増やせるのは積立投資です。価格が高いときは購入できる口数は少ないですが、低いときは口数を多く買える。結果的に平均コストを下げることができます。定額を投資していくことが、手堅く収益を生み出せる仕組みなのです。
今後の展望
日本は投資を正しく理解していない人がまだまだ多いのが現状です。投資の本質を理解して、少しでも多くの人がしっかりと資産形成できるよう、投資の正しい知識を広げていきたいですね。
現在、月刊JMS(ジャパン・メディカル・ソサエティの月刊紙)にて「老後と絶対に必要な貯蓄の手ほどき」を連載し、初心者でもわかりやすいように投資の概念や現状を噛み砕いて伝えています。まずは私ができるところから、投資の本質やあるべき姿を伝えていけたらと思っています。
LOGOSキャピタルパートナーズ
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