
今週のカンブリア宮殿は、誰もが1度は口にしたことのある醤油や豆乳、ケチャップのメーカーである「キッコーマン」の茂木名誉会長をゲストに迎えたスペシャル企画。
江戸時代から100年以上の歴史を誇るキッコーマンが世界的メーカーになったワケや、成長を続けられる理由について迫る。
世界に醤油を広めたレジェンド「キッコーマン」とは?
引用元:(https://www.kikkoman.co.jp/)
fa-arrow-circle-rightキッコーマンは、1917年(大正6年)12月設立され、61社のグループを傘下に持つ大企業だ。
東京都港区と千葉県野田市に2つの本社を構えるキッコーマンは、誰しもが1度は目にしたことのあるであろう「しょうゆ」や「豆乳」、「トマトケチャップ」などを販売している。
醤油と言えば、料理の「さしすせそ」を思いだすという方も少なくはないだろう。
「さ」は砂糖、「し」は塩、「す」は酢、「せ」は醤油、「そ」は味噌だと言われて親しまれていたが、近年「食べるラー油」や「パウダー調味料」などの新しい調味料が誕生し、国内醤油の消費量が激減している。
しかし、キッコーマンの代表的なヒット商品ともいえる「しょうゆ」を販売しているキッコーマンの年商は、この6年間で1.5倍も増加し、4500億円を突破した。
まだまだ成長を続けるキッコーマンの奇跡の経営の秘密はどこにあるのだろうか。
豆乳ブームを生み出した「キッコーマン」
豆乳ブームに火をつけ、その先駆けとなったのは「キッコーマン」だ。
豆乳の消費者市場は2008年から2016年までの8年でおよそ約2倍に成長している。
2006年、キッコーマンははんぺんやかまぼこなどで有名な「fa-arrow-circle-right紀文」が持っていた豆乳事業を子会社化し、通常のフレーバーだけではなく「チョコミント」や「マカダミアナッツ」などのさまざな味のバリエーションを展開。
SNSなどでも話題になり、「豆乳」が大ヒットするようになり、年商300億円を超える事業に成長させた。
そもそも、豆乳とは何から作られるのだろうか。
豆乳の原料とは?
豆乳に含まれている栄養分って?1日どれくらい摂取すればいいの?
fa-arrow-circle-right日本豆乳協会によると、大豆には「大豆たんぱく」をはじめとし女性ホルモンのエストロゲンに似た成分を持つ「イソフラボン」や「サポニン」、「レシチン」が豊富に含まれている。
さらに、大豆たんぱくは肥満予防や動脈硬化防止ができると言われている。
また、ダイエットを効果的に行いたい場合、痩せやすい身体作りをすることが大切だが、そのためには「一定量のたんぱく質」を摂取する必要がある。
タンパク質の摂取目安は体重50kgの女性で1日60g、体重85kgの男性は1日96gの摂取が好ましいと言われており、たんぱく質の計算方法は体重1kg×1.2F/日となる。
キッコーマン | スジャータめいらく | マルサン | |
内容量 | 200ml | 330ml | 200ml |
イソフラボン | 45.0mg | 28mg | 34mg |
カロリー | 約116kcal (200ml) | 約210kcal (330ml) | 110kcal (200ml) |
1日200ml程度の豆乳を飲んでおけば、他の食事でたんぱく質で十分に補える。
また、大豆の33%をしめる植物性のたんぱく質は、動物性食品よりも低カロリーでダイエット向けだ。
キッコーマン定番の豆乳で「豆乳アイス」
ある日、東京都港区でキッコーマンの豆乳の無料配布が行われていた。
イベント会場には長蛇の行列ができており、「食べるのを楽しみにしていた」という客も。
「豆乳を食べる」とはどういうことなのだろうか。
キッコーマンは"豆乳アイス"として豆乳の新しい楽しみ方を提供していたのだ。
こういった新しい発想を提供することこそが、キッコーマンが業界で生き残る理由だ。
キッコーマン「デルモンテ」が、リコピン1.5倍の濃厚トマトジュースを発売。
キッコーマンといえば、リコピン濃度の高い「デルモンテ」が有名だが、リコピン1.5倍の濃厚なトマトジュースも販売している。
キッコーマンの900グラムのトマトジュース リコピンリッチには、28個分のトマトが使用されている。
トマトに多く含まれるリコピンはβ-カロテンなどの仲間で、⾎流を改善や肥満を予防、美肌効果などの嬉しい効果がある。
リコピンを毎日摂取するため、トマトジュースを料理などにも使う「リコ活」で売り上げを伸ばしているのだ。
キッコーマンは常識にとらわれない「新たな需要を創造」し、成長を続けているのだ。
キッコーマンが販売した醤油を空気から密閉し、「いつでも新鮮」が味わえるしぼりたてシリーズも人気を集めている。
アメリカに醤油を伝えた男「潜在需要を有効需要に」
キッコーマンが野田で生まれてからすでに100年が過ぎた。
江戸時代から野田近隣で醤油を作っていた醸造蔵。
キッコーマン誕生のきっかけは、野田市にあった8つの醸造家が生き残りをかけて1つの会社になることを決断したからだ。
そこで選ばれた最も美味しい醤油がキッコーマンだった。
これまで、キッコーマンはさまざまな危機を乗り越えてきた。
醤油需要の先行きに危機感を覚えた茂木は、2年間毎月日本とアメリカを往復し、アメリカ市場に「肉に合う調味料」として醤油を売り込んだ。
そして、1973年にはウィスコンシン州に海外発の醤油工場を建設し、今や海外の醤油の年商は2700億円を稼ぎ出すまでになった。
地元の人たちは、「肉の味わいを深いものにしてくれる」と絶賛。
茂木の海外での戦略は「和食ではなく現地の食文化に醤油を浸透させる」ことだったのだ。
「日本料理向けに醤油を販売しても限界がある。アメリカ料理に醤油を使ってもらわないとダメだ」という気持ちをチャンスに、もともと調味料として肉に醤油をかけるという選択肢がなかった国を開拓したのだ。
レジェンド茂木が直伝する「日本の食文化継承の秘策」とは?
レジェンド茂木の創造する“需要の創造”とはお客が「こういうものが欲しい」と思うものを作ることだという。
キッコーマンがアメリカで醤油を売ることは「醤油の需要を作り出した」ことだと思っているという。
つまり、消費者が「欲しい」と気づいていない潜在的な欲求を顕在化するということが大切だと話す。
日本は一度失敗すると烙印を押される感じがして、ベンチャーが育たない。
茂木は「失敗を恐れず、挑戦できるムードが必要」だと言う。
仕事で部下を持っている人や今後経営を考えている方はキッコーマンを成功させた茂木の言葉を参考にし、“需要の創造”ができるように「失敗を恐れず、挑戦できるムード」をつくることを意識してみてはどうだろうか。