創業100年という長い歴史を誇る、土佐料理の専門店「司」。
現社長である古川太一氏の経営手腕により、倒産の危機を何度も救ってきました。
そこで今回は、敏腕経営者・古川太一氏の経営手腕・いごっそ経営や移り変わる時代の中での次なる一手に迫っていきます。※ "いごっそ"とは高知の方言で頑固という意味。
土佐料理の名店・司
3代目・古川太一氏によって100年企業を達成。高知県に本店を置き、土佐料理を得意としている老舗料理店です。
もともとは小さな料亭からスタートしましたが、今では大衆食堂にまで成長。数々の飲食店がつぶれていく時代に、なぜ生き残ることができたのか。
生き残ることができた理由は、常に新しいことに挑戦していく姿勢です。例えば、東京港区でオープンしているお店では、コンセプトを西洋風と置き換え「土佐イタリアン」という新しい試みを行いました。
激しい時代の流れで生き残っていくには、時代の流れに逆らわずに常に新しい発想をしていかなければなりません。柔軟な考え方と経営手腕により、土佐料理「司」は、100年も続く企業へなったのです。
91年のバブル崩壊で倒産の危機~復活へ~
今では100年企業と言われる「司」ですが、前社長の時に倒産危機まで売り上げが激減したことがあります。91年のバブル崩壊です。
これまでの経営は、借金をしても店舗拡大でした。その当時はバブル絶頂期ともあり、たくさんの企業が融資をしてくれたのです。
しかし、当時社員だった古川太一氏は、前社長のやり方をあまりよく思っていませんでした。古川氏の予感は的中し、バブル崩壊とともに経営が崩壊し売り上げが減少。
さらに、銀行の貸しはがしなどで、「司」は倒産危機を迎えてしまうのです。当時の社長は、「自分で建てた会社を自分の手でつぶすのは嫌」という理由で、古川氏と社長を交代。
再起をかけるためまず古川氏が行ったことは、採算の合わない店舗をすべて閉店したことです。そして10年かけて借金を返済し、倒産の危機を乗り越えました。
真の復活は地元高知県の復活
3代目・古川太一氏によって、「司」は倒産の危機から抜け出すことができました。
しかし、古川氏は「司」の真の復活は、地元高知県の復活がカギと考えていたのです。高知県は、若者がどんどんいなくなり地方衰退の代表例となっております。まず高知県を盛り上げるべく3代目が考えたものは、地元の特産品を作りネットで全国販売しようと考えました。
社長が目につけたものは、「ウナギ」と「四万十茶」です。全国にも店舗を持つ「司」と高知の名産品がコラボレーションすることにより、今まで知られていなかった高知の魅力を全国に知ってもらうことができます。
ネット販売により、高知にいながら県外に売る仕組みを作り、高知県自体が復活すれば「司」の真の復活になると考えているのです。
司の次なる一手とは?
今日本の漁業では、乱獲により魚の取れる量が毎年減少しております。
しかしそれは日本だけの話であって、世界では毎年魚の取れる量が増えてっているのです。一体なぜ日本だけ減少していってしまうのか。
日本が年々減少している理由は、漁獲量の規制が少ないからです。ニュージーランドでは約100種・アメリカでは約500種もの制限をかけているのに対し、日本では約8種となっております。
実際8種の漁獲量を制限しているが、正しく守られていないのが現実です。「このままでは、将来魚が食べられなくなる」そう思った古川太一氏は、次なる一手として日本の漁業の仕組みを変えていこうとしています。
将来日本で魚が食べられるかどうかは、まさに今が瀬戸際の状況なのです。100年続く老舗料理店社長の次なる一手に期待。