ソロ社会化する日本2040年には独身車が人口の5割になり、64歳までの既婚者は3割になる。
これからの日本はどんどんソロ社会化していく。
今回は中野信子さんと荒川和久さんの大ベストセラー"1人で生きるが当たり前にある社"を解説してます.
2040年には独身人口の5割になり、64歳までの既婚者は3割になってしまうという衝撃の事実があります。
「既婚者である自分達は少数派になってしまうのか」とか「このままだと少子高齢化が益々進むだろうし、日本の将来は大丈夫か」と思った人もいるかもしれません。
あるいは逆に、「なるほど、これから1人で生きていくことに不安しか感じていなかったが、20年後には自分たちが多数派になるらしい」と前向きに感じた方もいらっしゃると思います。
どちらの感想を持ったにせよ、これから日本がどのようになっていくのかということを知っておくことは極めて大事だと言えるでしょう。
そのファクトをもとにして「じゃあ自分はどのように言って行こうかな」と私たち1人1人が自分なりの人生設計を書くことが重要になってきます。
本書はソロの幸せ、既婚者の幸せ、恋愛強者と恋愛弱者の生存戦略、そのようなとても面白いテーマが書かれている本です。
まずこれからの日本がどうなっていくのかということから話を起こしていくことにいたしましょう。
「ソロ社会化」する日本
最初に基本的な事実の確認をしておきます。2040年には独身が47%になり、64歳までの結婚している人は31%になります。
日本は2040年には独身の人口が半分になり、確実に1人で生きることが当たり前になる社会への道を進んでいくことになります。
基本的に独身が47%だからほぼ半分です。これは全員が未婚というわけではありません。
死別、離別など、1度結婚してもまた独身に戻る人も含めて20年後にはこういう配偶関係人口になるということが予測されています。
最近では結婚するにしても永遠の愛を誓うというような風潮はなくなってきているように思います。
結婚するメリットを疑ってかかる時代に本格的に突入したという感じでしょうか。
特に東京在住の働く女性はもう結婚する必要性を感じなくなっております。結婚を何のためにするのかをみんなが自問自答している状態です。
恋愛はしたいけれど結婚するとなるとまた別の話、という意識です。恋愛はいいけれど結婚はためらうという感覚は実は昔は男性のものだったのですが、最近は女性側がそう思っているのが新しい現象のように思えます。
そして、ファクトを元に著者は日本は高齢者よりも独身者が多い独身国家になるんだと言います。
日本は超高齢化と言われていますが、高齢者人口は3900万人です。一方独身は4600万人で3900万人の高齢者よりも独身の4600万人の方が多いです。
さらに高齢ソロ男は490万人、高齢ソロ女は1260万人です。
独身の高齢男性の寿命が短いのはおそらく配偶者と死別したからでございましょう。
そして、2015年の男性の未婚率は3%、女性が14%です。それが2040年には男性3割、女性2割になると考えられます。
男性の3人に1人、女性の5人に1人は生涯未婚となります。これを聞いている男性の状況はさらに深刻です。
なんと300万人の日本人男性は結婚相手が見つからないという状況にあるそうです。
でも、男性と女性の数はそんなに変わらないのになんで男性だけ余るのか。なぜなら結婚における男性の格差社会が訪れているからです。
男性は何回も結婚する人と結婚しない人に分かれている。一方、女性の場合はそんなことはありません。
男性は再婚相手に初婚の女性を選び、再婚女性は再婚の男性を選ぶ。ですから著者はこれはもはや時間差一夫多妻制だと言っています。
離婚再婚を繰り返す人は何回も結婚するのに、1回も結婚できない人はずっとできないということです。
この傾向は北欧でもっと顕著です。男性は裕福な人が生涯を通して何回も結婚する一方で、一夫ゼロ妻制が多い。
つまり、男性社会の格差が拡大し男性同士の間に戦いが訪れているというわけなのです。
実際今もそうなっています。
300万人の男性はどうあがいても結婚相手がいないという状況になっています。それは独身人口が増加するのも当たり前です。また、独身人口が増加する理由として離婚の増加が挙げられます。
よく3組に1人は離婚するなんて言われているように日本は非常に離婚率が高い国なのです。
そして、1人でいたいと考えている人は4割、他者と一緒にいたいと考えて人は6割であるという結果も出ています。
このソロ度が高い人は日本ではざっくり言うとおり4割いるわけなのです。
逆にみんなと一緒にいたいと思っている人は6割いる。でこれを聞いているあなたはどうでしょうか。
もっとわかりやすく言うとあなたは帰った時にワイワイガヤガヤしているとか明かりがついているのがいいという人ですか。それとも真っ暗で誰もいなくてシーンと静まり返った部屋に帰りたいと思う人でしょうか。
これは別にどちらが良い悪いという問題ではありません。結局、人には向き不向きがある。他者とともに過ごす人が得意な人もいれば、他者とともに過ごすことが得意でもない人がいるというだけです。
とはいえ、独身だと結婚しないと孤独死するぞなんていう脅しを必ず一回は言われるかもしれません。
しかし、孤独死の問題についてはよく考えてほしいと著者は言っています。孤独死しているのは実はほぼ元既婚者であるというファクトがあります。
高齢で孤独死している75歳以上の人たちを例に出すと、今75歳以上の人たちはみんなが結婚していた時代の人たちであると言われています。
ということは、今孤独死している人はほぼ全員昔は結婚していたということであります。
だから、結婚しないと孤独死するぞというのは間違っていて、結婚していても孤独死するよというのが正しい話なのです。
独身か既婚かはあまり関係ありません。むしろ独身の方が前々から準備できるとも言えます。結婚は義務ではありませんから孤独死を恐れるあまり無理に結婚しなくてもいいということです。
さらに本書には、結婚後5年以内に愛が冷める理由も解説されております。これは、シンプルに説明ができます。
そもそも恋愛としての好きになるというのは理性を麻痺させる仕掛けなのです。
ロマンティックでも何でもなくなってしまいますが、特に女性にとって結婚・出産というのは大きな負荷になります。
なかでも出産は命を失うかもしれない危機的な状況ですから、理性的に考えるのならばそんな選択は絶対にしたくないわけです。
男性は出産ほどの危機的状況はありませんが、それでも子育てにコミットするという負荷が待っています。
男女ともに幸福を忘れさせるような仕組みが私達の脳にないと種が残りませんから理性に恋愛という麻酔をかける必要があります。
その麻酔が効いているうちはいいんですが、やがてそれは切れてしまいます。
突然正気に戻ってしまうわけです。お互いに理性的な状況に戻った時に「この人はやっぱり素敵だなぁ」と思えなければ、やっぱり気の迷いだったとなるわけです。
離婚が1番多いのは結婚後5年未満だそうです。だから、その麻酔はせいぜい5年ぐらいしかもたないという悲しい現実があるわけです。
この理性の麻酔は早ければ数ヶ月で切れてしまいます。長くても4年と言われております。
麻酔が切れた後も夫婦として継続するのは子供が生まれて愛情が子供に移行するからです。夫婦というよりも共同経営者みたいな感覚になります。
子供の世話は大変だけど、でもすごく愛おしい。だから一生懸命に世話をしてまた何年後かには2人目が生まれて、それが継続的な麻酔みたいになっています。
その麻酔が切れてある日突然「なんか加齢臭のおっさんが家にいる」と思うわけなのです。
ふと我に返る理由なのです。実際、第二子が小学校高学年ぐらいになると不倫し始める人が多いそうです。
- 日本は2040年には独身が人口の半分となり、着実に1人で生きることが当たり前になる社会への道を進むこととなる。
- 2040年には男性3割、女性2割が生涯未婚となる。つまり男性の3人に1人、女性に5人に1人は生涯未婚となる。300万人の日本男性は結婚相手が見つからないという現状にある。
- 1人でいたいと考えている人は4割、他者と一緒にいたい人は6割結婚していても孤独死するので一般的に結婚のメリットと言われている。孤独死したくないから結婚するというのは効果がありません。
愛は見た目、愛はお金
男女に違いがあるというのはなんとなく皆が納得しがちですが、意外と盲点なのはソロと既婚者は大きく異なるということ。言い換えればソロ男とソロ女に共通項がたくさん存在するということです。
ソロ男と女にはどんな共通項があるのか。
一番わかりやすいのは、ソロ男とソロ女は既婚男女と比較すれば圧倒的に1人が好きであるということです。
誰かと一緒にいる時、1人でいる時のどちらが充実するかという質問に対して、既婚男女は誰かと一緒にいるのが良いのが5割から6割、1人でいる時に充実すると答えた人が2割以下なのに対して、ソロ男女は真逆だったんです。
誰かと一緒にいる時充実するという人は2割以下、1人でいる時に充実するという人は5割から6割でした。
つまり、ソロの人は1人が好きだからこそソロの状態にあるということです。しかもこれは意外に思うかもしれませんが、ソロ男よりソロ女の方が1人好き率が高いんです。そして、ソロ女は既婚者よりも圧倒的に愛よりお金派です。
信じられるものは愛ではなくお金なのです。ソロ男よりソロ女のほうが愛よりお金を選んでいます。
もちろん「そんなことないよ!」と言う人がいるのはわかっておりますが、そういう人が多いという傾向があるということです。
男性が女性を選ぶ時の選び方、女性が男性を選ぶときの選び方は脳の活動を見ると明らかに違います。
もちろん個人差もありますが、女性を選ぶとき男性の脳では視覚関連領域を使って女性の容姿、尻と胸とくびれ、もちろん顔を見ます。
一方女性の脳はどこが活性化するのかと言うと視覚関連領域ではありません。男性を選ぶときに活性化するのは前帯状皮質という前頭葉の一部なのです。
そこは矛盾を検出するところなのです。その男性は言動が一致しているかどうか、嘘をつかないかどうか、子育てをしてくれるかというようなことを見ているのです。
子育てにコミットしてくれるだけの資源を持っている男性かどうかというところを見る。そのように報告している研究グループもあります。すると女性が難波愛はお金という考え方も生じやすくなるでしょう。
男性側にとっては愛は見た目ということになるかもしれません。
女性は男性がリソースを自分と自分の子供に割いてくれる人なのかを見極めようとしているわけだからこれは納得の結果です。
進化的に考えても非常に納得できることです。
次は幸せについて考えていきます。他人と一緒にいるのが好きな人や結婚している人は他人と一緒にいることに幸せを感じるというのはわかりやすい話です。
ではソロ男ソロ女は一体何に幸せを感じているのでしょうか。それはエモ消費です。消費というのはお金だけではなくて、時間も対象です。お金だけではなくて時間も使って自らの幸せを手に入れることをエモ消費として本書では定義されています。
ちなみにエモ消費のエモとはエモーショナル、すなわち感情的なの略ですが、そもそも若者たちの間で使われるのでもエモいという言葉から取っています。
モノ消費からコト消費への移行により、モノ消費の所有価値、使用価値に変わりました。モノは所有するだけではなく、それをどう使うのかが可視化したわけです。
コト消費からエモ消費に移行すると、コト消費の体験価値は時間価値へと変わります。
その体型によって、その人の時間がどのように価値を持ったのかが問われるようになります。
エモ消費における精神価値とはソロが抱える心の欠落感を埋めるために代償行為としての自己の社会的役割、つまり「俺は何か社会や誰かの役に立っている」という達成感を手に入れようとしているということです。
具体的に説明します。
彼らは配偶者や子供がいません。家族コミュニティを持っていないからそこの部分で社会帰属欲求が満たされていません。
ですからその部分をアイドルやゲームへの消費行動を通じて、自己の社会帰属意識を満足させているわけです。
アイドルは疑似子育て、ゲーム課金は疑似出世と言えます。そういったものに傍から見たら無駄なお金や時間を費やしているように見えても彼らは、もったいないとか無駄だとは思っていありません。
要するにお金と時間をかけることで心を埋めているわけです。これも面白い現象ですが、アイドル男の人はアイドルのライブとかCDや応援グッズの購入にものすごくお金を使います。
エモ消費している彼らはその刹那、本当に幸せを感じているのです。
- ソロ男とソロ女には圧倒的に1人が好きであるという共通項がある。
- ソロ女は既婚者よりも圧倒的に愛よりお金派である。信じられるものは愛ではなくお金である。そして男は愛は見た目、女は愛はお金である。
3割の恋愛強者と7割の恋愛弱者
恋愛の得手、不得手もコミュニケーションスキルの一種と考えられますが、この恋愛スキルは人によって大きく差がつく部分です。
著者は恋愛強者3割の法則と言っていますが、つまり恋愛が得意な人は全体の3割しかいない。7割の人は恋愛が苦手なのです。
恋愛している未婚男女は平均すると3割。30年ぐらい前からずっと約3割です。別に今の若い男性が急に草食化したわけではありません。
3割の恋愛強者男性が1人で何人もの女性と付き合っているのです。今まで一度も彼女ができたことのない男性が3割ぐらい存在する裏で、3割の恋愛強者が恋愛相手を何度も支えているという現実。
まさに勝者総取りウィナーテイクスオールです、
では3割の恋愛希望者にはどんな特徴があるのでしょうか。それは悲しいことに男女共に年収が高いということです。
コミュ力と仕事は関連性があるのかもしれません。さらに著者は自分から能動的に動ける3割の人がモテまくると言います。
要するに残り7割の人は受け身なのです。ナッジという概念をがあります。ノーベル経済学賞を受賞したシカゴ大学のリチャードセイラー教授による行動経済学に基づいた戦略です。
事例を紹介します。いつも汚れている空港の男子トイレをどうしたら汚れないようにできるかと考えた時に小便器の真ん中にハエの絵を書いたのです。そうすると男性がこの絵をめがけておしっこするようになるのでおしっこが飛び散らなくなる。結果としてトイレ清掃費を8割節約できたそうです。
この例からも分かるように、このナッジとは生地で軽く突っつくという意味で、ちょっとしたきっかけを作って良い行動を促すということです。
例えば「トイレを汚さないで下さい」と張り紙をしても誰も見ないし、むしろ汚してやろうみたいな人がいます。
でも、ハエの絵を描くと綺麗にしましょうと言わなくても結果的に綺麗になります。このようにしてなっちは行動経済学で用いられているわけであります。
そして、結局ナッジがなければ動かない受け身な人々は7割で、ナッジがなくても動ける残りの3割の人がモテるんです。
言われなくてもやれる人がモテる、もっと言うと言われなくてもやれる人が搾取する。すなわち1人勝ちをすることによってこの世の資本主義が成り立っているということも言えます。
では、ここからはかつて、恋愛弱者を作ってきたお見合いというシステムについてちょっと考えていきます。
昔は落ちこぼれた人を救うお見合い制度というマッチングシステムがありましたからなんとか結婚できましたが、今はほとんどないんだと著者は言います。
結婚したくない人はそもそもしなくていいのですが、結婚を望む恋愛弱者にとってはこのお見合いというある種の社会規範的マッチングシステムがあったからこそ結婚できていたという側面があります。
ところが、自由選択制になれば当然選択されるものと選択されないものとの格差が拡大します。
恋愛描写が1人で何人もの相手と恋愛をする一方で、弱者は誰とも出会えないという結末になってしまうのは残念ながら事実です。
本当に結婚したいけれど出会いがないという人たちは数合わせの会員でしかない。それを尻目にこんなシステムがなくても恋愛できる強者達が1人で何人もの相手と楽しんでいるだけなのです。
- 恋愛が得意な人は全体の3割しかいない。7割の人は恋愛が苦手である3割の恋愛強者の特徴は年収が高いことと、ナッジがなくても自分から動けることである。
- 昔はこぼれ落ちた人を救うお見合い制度というマッチングシステムがあったからなんとか結婚できていたが今はほとんどない。そして。自由選択制になれば当然選択されるものと選択されない者との格差が拡大するのは避けられない。
著者は今回紹介したこれからのソロ社会は決して絶望の未来ではないと言います。
成熟した社会はソロ化へと進むことは必須であり、もう何十年も前から予測されていたことになります。私たちが向き合うべきは変わるはずもないものを変えられるかのような欺瞞や茶番ではありません。
ファクトを知った上で不可避な未来を見据えて今をどう歩いて行くかを決めることです。
そのソロ化する社会は決して絶望の未来ではありません。結婚して産み育てる人がいなくなるということはありません。
どんなことがあっても恋愛する人はいなくなりません。同時に未婚でも子供を産まない人生であってもそれが価値のない人生を意味するものでもありません。
結婚しようがしまいが、子供を産もうが産むまいが、誰かと一緒に暮らしていようが、1人暮らしだろうが、私たちは1人1人が新たなコミュニティを構築していく必要があります。
それは今までのような家族・地域・職場という縁で結びついた大勢の人間が所属するコミュニティの中で協力し合っているだけではなく、互いに接続し合うことで結果としてコミュニティの役割を果たす接続するコミュニティを意識していくことではないかと筆者は言います。
そしてそれは、自分と外側との接続だけではなく、自分の内側に存在するたくさんの自分とも接続するということでもあります。
本書は少なくともファクトに基づいた新しい視点や資材を提供しておりますが、だからといって何か明確な答えを提示するものではありません。
環境変化による社会構造の転換は私たち1人1人に共通する境遇かもしれませんが、答えは1人1人違うはずだからです。
日本がどのようになっていくのか。そしてこれまでの結婚するという当たり前だった価値観は本当に正しかったのか、どうか。
自分にとって正しかったのかどうか。死ぬ時に1人は嫌だという理由で結婚しても本当は結婚してようがしまいが孤独死は避けられないという事実。
やはり求められているのは自分の頭でしっかりと考えるということでしょう。そして、自分の気持ちに対して正直になるということでしょう。
結婚するのが当たり前だから結婚するのではなくて、結婚したいなら結婚する、結婚したくないなら別に誰になんと言われようと結婚しない。
そのように、自分の素直な気持ちに従って自分の行動を決めていけばいいのです。
結婚しているから偉いわけでもなく結婚していないからダメなわけでもありません。
既婚者が減っていくという日本の未来を憂うなどというこんな大きなことは気にせずとも、自分の未来を考えていく上で今回の内容が皆さんの人生に何かしらの影響を与えることができれば私はとても嬉しく思います。