人の行動のうち60%は無意識で行われています。
自分の時間の使い方を把握し、悪い癖を改めることで生活の質が上がるでしょう。そして、時間管理がうまくなり仕事も遊びもより充実し幸福度の高い人生を送ることができるはずです。
今回は池田 貴将さんのタイムマネジメント大全を解説していきます。
- 1つはより幸福度の高いプライベート時間の使い方について
- もう1つは仕事にも遊びにも活かすことができる集中力を高めて時間の密度を上げる方法について
です。
時間に追われていて時間の使い方を変えたいと願っている方にとっては必見の内容になっています。それでは早速参りましょう。
時間を可視化する
1日忙しかったという実感があるのに今日中に片付けようと思っていたことが終わっていない。そんな経験がある人は多いのではないでしょうか。
むしろ、こんなことは日常茶飯時だという人もいると思います。それが起きてしまうのは自分の時間に、
- 何に?
- どのくらい?
使われているのかを把握していない、そのことが原因かもしれません。
このように感じる方、特に今まで時間の使い方を気にしたことなんてなかったよ、という方も1度、自分の時間の使い方を記録し、知ることをお勧めします。
記録をつけるだけであなたの時間の使い方は根本的に変化します。なぜか、時間を記録すると時間の管理がうまくいくようになっていくからです。
時間を記録するとどうして時間の管理がうまくいくようになるのか、それについてポイントを3つに絞って解説していきましょう。
時間の管理が上手になる3つのポイント
ポイント①自分の時間グセがわかる
南カリフォルニア大学の心理学教授ウェンディウッド氏によると人の行動のうち60%は無自覚だそうです。
つまり誰もが1日の半分以上は自分でも何をしているのか把握しきれていないということです。
そこを自覚できれば自分の時間グセが分かり、時間の使い方を見直すことができるでしょう。
- どこに無駄な時間を使っているのか
- どこを有効活用できていないのか
それらを知ることで時間の使い方が変わるんです。
ポイント②予定外で入る行動が分かる
どういう時にスケジュールが変わってしまうのかを把握することで予想を立てるのが上手になります。例えば、経理に行くと別のタスクを頼まれがちなど、起きやすいパターンが見えてくると自分の人生のコントロール感がアップします。
ポイント③作業にかかる時間がわかる
時間を記録してみないと想像以上に時間がかかっていることに気付かず、効率の悪い作業を続けてしまったりします。
自分が思っていた以上に時間を取られていたら、「これはやり方を変えた方がいいなぁ」と改善のアイデアを出すことができます。自分でも時間の使い方が下手だと感じている人は時間を無駄にしているポイントや、改善点がどこにあるのかが分かっていないことが原因なんです。
この3つのポイントを知るためにも自分の時間の使い方を記録する必要があるんです。
では、どうすれば時間の使い方を記録することができるのか。その手順について説明していきましょう。
時間を記録する方法
最初は1週間の自分の生活を記録します。シンプルでいいですので自分が1日のうちに何にどのくらいの時間を使っているのか列挙していきましょう。
記録する時間の単位は15分から30分がいいです。仕事・食事・睡眠・読書・ゲーム・SNSといった具合にできるだけ正確に記録していきます。こうやって、ただ記録するだけでも自然と時間の過ごし方に意識的になることができます。
ポイントは記録そのものを目的としないことです。あくまで時間管理の手段と捉えて取り組みましょう。
本書で紹介されている記録に使うのにオススメのアプリもここで紹介しておきましょう。Twitter、こちらは記録用の非公開アカウントを作ると良いでしょう。またWebカレンダーを有効活用するというのも効果的です。また、1日の時間の割合を円グラフや、棒グラフで見せてくれるようなアプリもいいでしょう。
おすすめの無料アプリとしては
- Toggl Track(トグルトラック)
- MyStats(マイスタッツ)
上記はおすすめです。
また手帳でスケジュール管理を既にしている、という人もいると思いますが、そういった方はそのまま手書きでもいいでしょう。
1週間の記録が終わったら記録を振り返って時間をラベリングし改善点を探します。ここではプライベートの時間に焦点を当てて分析していきましょう。
まず、大切なのは1日のうちで自分が自由に使うことができる時間これがどれほどあるかを知ることです。
24時間から仕事関係の時間を引き、睡眠食事も含めた自分が自由に使っている時間が何時間あるのかを把握しましょう。
次にプライベートの時間をこれらの3種類に分類します。
- 睡眠・食事・身支度などの必要時間
- 趣味や勉強ワークアウトなどを能動的に過ごす時間
- 動画試聴やSNSゲームなどを自動的に過ごす時間
それぞれに1日どれくらいの時間を充てているか、これを調べてみてください。
バランスとしては必要時間に9時間から11時間、能動的な時間に3時間から5時間割くのがいいでしょう。
ポイントは能動的な活動に多くの時間を充てるということです。
それは娯楽の時間であっても目的意識のないまま過ぎてしまう自動的な時間は、能動的に楽しもうとする時間に比べて幸福度が下がるんだということが研究によってわかっているからなんです。
受動的な時間はできれば1時間以内が理想です。しかし、なかなかそれができているという人はいないでしょう。
例えば、Netflixの調査によると61%の人が1度何かを見始めると2-6話を一気に見続けているという結果になったそうです。ドラマでもアニメでももちろんYouTubeの動画でも1本見終わると別の話が気になってしまう、次の展開が気になって止めることができない、切りのいいところで止めればいいということはわかっているのにできない、という風になってしまうんです。
心当たりがある人も多いと思います。
この分かっていても止めることができなくなるというのは脳に原因があるんです。脳は決まったパターンで与えられる報酬よりも予期しないパターンで報酬を与えられた方が喜びが大きくなるという特性があるんです。
ときたま遭遇でする楽しい情報、驚きのある記事などを求めてネットサーフィンを止めることができなくなってしまう。
ついSNSを開いて面白い投稿がないかチェックしてしまう。YouTubeを延々と徘徊してしまう。ドラマやゲームなど先の展開を期待して見続けてしまう。
そして、受動的な時間の過ごし方は多くの場合、何かとセットになっているため、なおさら抜け出すことが難しいと言えます。
例えば、お酒を飲みながら動画を見る、お菓子を食べながらSNSをするなど、中毒性が高い行動とセットになっているため余計に向けることができないんです。
この負のスパイラルを断ち切るために引き続き1週間の時間記録をもとに、きっかけをなくする3つのステップを実行していきましょう。
負のスパイラルをなくす3つのステップ
きっかけをなくす3つのステップは、
- 1週間、14時間以上使っている受動的な時間に印をつける
- 受動的時間に入る「トリガーを見つける」
- 「トリガー」が起きないように環境を変える
このトリガーとは、ある行動を起こすきっかけのことです。
そんなトリガーには2種類あります。
インナートリガーと言って自分の体がトリガーになっているケースで、もう1つはアウタートリガーと言って自分の外側にあるものがトリガーになっているケースです。
例えば、グーっとお腹が鳴るこれはインナートリガーです。このインナートリガーによってお菓子が食べたいなとなってしまうわけです。
逆にピコンとLINEの通知が出た。こちらはアウタートリガーですよね。このアウタートリガーによって、開かなきゃ!LINE見なきゃ!といった具合に悪習慣が発動してしまうんです。
このように習慣になっている行動はインナートリガーとアウタートリガーの連鎖によって起こっています。
よくある例としては、疲れたぁというインナートリガーがビールを連想させ、冷蔵庫を開けるという行動に移させます。そこにビールを見るというアウタートリガーが疲れをすっきりするという連鎖を生み出すんです。そこでプシュという音がして欲求が満たされることを想像し手が伸びるわけです。
こうしてアルコールでふわふわになったのは、次々と展開している動画の視聴を受動的に受け入れてしまうんです。
この場合やることは、動画もビールも我慢する!ではないんです。
見直す部分は疲れた時というインナートリガーと冷蔵庫を開けてビールを見るというアウタートリガーの連鎖のスタート地点、つまり最初から違う行動をとるようにすればいいんです。
例えば疲れた時を避けるのは難しいですが、疲れた時冷蔵庫開けたら炭酸水が目の前にあったらどうでしょうか。
このように炭酸水を冷蔵庫に入れておくだけで環境が変わり1連の流れを止めることができるんです。
アルコールを飲むことで大変だった1日のご褒美に元気な気持ちになりたいとか、寝る前にリラックスしたいというような目的があるのならば、代わりにエクササイズをしたり、好きな香りの入浴剤を入れてバスタイムを楽しむなど、その状態を別の方法で作り出すこともできるはずです。
香りは脳にダイレクトに作用し自律神経やホルモンの働きを調整してくれますので、リラックス効果を得るにはとても有効的です。
むしろアルコールよりいいでしょう。著者は試しにノリのいい好きな音楽を聴きながら1駅歩いて帰ってみるということをお勧めしています。
これは心拍数が上がり気分が高揚して元気が出てくるという効果があるんです。疲れているのに運動と思うかもしれませんが、むしろそんな時こそ程よく体を動かすとかえって元気になることが分かっているんです。
また、他の手段としては能動的にやりたいことを思い出すことで受動的な時間を減らすという方法もあります。
著者が実際に行なっているのは、"こんな風に1週間を過ごしてみたい"というイメージを箇条書きで書き出すことだそうです。
例えば、もっと読書をしようとか、もっと家族と過ごそうか、もっと仕事以外の世界と触れ合おう、というような感じです。
能動的にやりたいと思う自分にとって大切なことが見えてきます。ただし、心に思っているだけでは弱そうですから目標のように書き出して、毎日見て思い出せるような場所に貼ったりしておくとさらに良いと言えます。
誰もが習慣化された生活を改善することは最初のうちは大変なはずなんです。1度に全部決定してやろうとは思わないでください。まずは、ちょっと頑張れば達成できそうな目標をひとつ立てて小さな成功を経験していきましょう。
そして、成長の実感を得て少し自信がついたらそれを徐々に積み重ねてモチベーションをアップさせていけばいいんです。
プライベート時間の充実度、幸福度がどんどん高まっていることが実感できるはずです。
さてここでまとめておきましょう。
- 自分の時間が何にどのくらい使われているかを把握するために1週間の記録をとろう。無駄な時間の使い方を改善しよう。
- 目的意識のないまま過ぎてしまう受動的な時間は能動的に楽しもうとする時間に比べて幸福度が下がる。受動的な時間は1日1時間以内が理想的。
- 受動的な行動に移るトリガーが起きないよう、環境を変えることが大切。
集中力とSNS制限で時間の密度を上げる
私たちの脳は1度に1つのことしか考えられません例えば数字を数えながら会議の議事録を取るといったようなマルチタスクはできない。
わずか1%から2%の鬼才な人を除きどちらも脳の前頭前野を使うような2つのことを両方同時に取り込むことは可能なんです。
スタンフォード大学の神経科学者であるエヤル・オフィル博士は次のように述べています。
"人間は実のところマルチタスクなどしていないタスクからタスクへと素早く切り替えているだけである。"
と、しかもタスクからタスクへと切り替える際には集中力を取り戻すまでに、平均25分かかり、脳のエネルギーをかなり消費してしまうそうです。会議の合間にメールをチェックしたり、書類を作成しながらチャットアプリのメッセージをチェックしたり、というのはよくあることだとは思うんですが、そのために脳は一旦集中を切り新しいタスクに集中し直しているんです。
このタスクスイッチングにより脳の集中が妨げられ続けると1日の終わりにあなたはこう感じることになってしまいます。
「一度にあれこれと取り掛かって忙しかったし、こんなにヘトヘトなのに大したことができなかったなぁ」、こんなふうに考えてしまうんです。
スイッチングは仕事の効率を下げるだけではありません。なんと、脳の機能を衰えさせることが分かっているんです。常に情報から情報へと切り替えていくことが脳のパターンとなり情報をしっかり理解する能力も記憶する能力も低下してしまうのだそうです。
つまり、私たちは短時間でも1つのタスクに没頭して効率を上げることが重要です。1つのタスクにだけ没頭すればフロー状態と呼ばれる深い集中状態が生まれやすくなり、普段よりパフォーマンスも高まり心理的にも充実感を得られることが分かっています。
これは仕事だけでなく、あなたが自由時間に好きなことをしている時も同じです。
何かする時は、1つのことに集中してやり遂げることを意識しましょう。
すぐに気が散るような状態では満足度、充実度が下がってしまいます。また、集中を切らさないために大切なこととして人の要求を優先しないことが挙げられます。
私たちの心の中には他人から評価されたいという承認欲求があるため、人からの頼み事を断るということは難しい、と感じてしまいます。
そして、外部からの刺激によって流されることは楽でもあるんです。自分の時間は自分で使い方を決める、人の欲求よりも自分の欲求を優先する、ということを固く決意しなければなかなか集中力で時間の密度を上げるということはできないでしょう。
そしてさらに強い決意を必要とするあなたが持っている集中力を妨げてしまうもの。
今の社会には人以上にあなたの集中を邪魔する手強いものがありますよね。
そうです。スマホなんですね。
スマホの通知が鳴るたびに気を取られてしまい、永遠に集中力は途切れっぱなし。私たちは常々この小さな機械に振り回され、しかも自分のものだけではなく隣に座ったら見ず知らずの人の着信音にすら反応してしまうような環境にいます。さて、もう何をしたらいいか予想がついたでしょうか?
何かに集中したい時は全てのスマホの通知をオフにすることです。
バイブレーションをもちろん切るようにしてください。これはスマホの設定画面でできます。もちろんパソコンも同様にすることをお勧めします。ポップアップで知らせてくるメールやお気に入り登録をしているブログや、動画の更新などは意識の上では無視をしているつもりでも必ず集中力を途切れさせるんです。
- タスク・スイッチング
- 人からの要求
- スマホからの通知
これがあなたの集中力を削ぐ3つの強敵なんです。
これらの対策は可能な範囲でしっかりと行なっていただきたいと思います。
さて、次に集中力を鍛えるという話にシフトしていきましょう。集中力を高める訓練として時間を区切って1つの事に集中するという方法があります。
慣れないうちはついメールをチェックしたくなったり、急に思い出した案件を処理したくなるかもしれませんが、今やる1つの事に注意をしてください。
この葛藤こそが集中力を鍛えてくれます。とにかく我慢!
集中が切れそうになったら大きく新呼吸をして、もう1度意識を戻して作業を続けてください。もちろん、スマホは目に入らず手が届かない、通知音が聞こえない場所に置きましょう。
人間の集中力は深い集中では15分、浅めだとしても最大90分までしかもたないと一般的には言われています。しかし、これは人によって違ったりするんです。
実際にタイマーで測って自分に合うリズムを見つけるのがいいでしょう。忘れてはいけないのが脳を休めるために途中休憩は必ず入れること。
1つのことに脳を働かせ続けると集中力が落ちてパフォーマンスが下がってしまいます。結局逆効果になってしまうんです。ですから、きちんと時間を区切って休むこと、これを大切にしてください。
今度は初心者におすすめなポモドーロ・テクニックが紹介されています。
ポモドーロ・テクニックとはイタリア出身のコンサルタントによって考案された時間管理術でタイマーを使用して25分の作業と短い休憩を1セットする、という方法です。
多くの人は休憩時間を5分とし、1セットを30分にして行なっています。
このセットを繰り返しながら作業を進めていくと消耗しすぎることなく、結果的に長く重要な仕事に集中できます。
著者も試したところだいたい25分ではキリがいいところまで作業が進まないので、早く次に取り掛かりたくてそのまま何セットも続けることができたとのことです。
ちなみに4セットを終えたら30分の休憩を取っていいというルールになっています。
この方法ならあなたもできる気がしませんか?
1度リズムを掴めば集中している状態は快感でもあり、終わると脳がスッキリしたような感覚さえられるんです。是非試してみてください。
また、読書をする集中力はあっても資料を読む集中力はないとか、料理は集中できるのに試験の勉強にはなかなか集中できない、そんな悩みを持つ人もいるでしょう。それは、これまで生きてきた過程で何に集中する訓練を積んできたかによって差が出ているんです。
何にでも集中力のある人なんていません。ですから安心して下さい。これから集中したいものを選択して鍛えて行きましょう。集中力を鍛えることは筋トレと同じで最初はきつく感じますし、やらなければ衰えていきます。
しかし、続ければ必ず身に付いていくんです。最強の集中力が身についたら仕事だけでなく、趣味や遊びの時間も充実し、何倍も楽しめるようになるはずです。ここからは疲れが溜まって集中が続かないという時の対策や、休憩時間にできることについて触れていきましょう。
途中で疲れてきてしまった時は数分でも瞑想すると集中力が戻ってきます。著者は頭が疲れると1分にタイマーを設定して目を閉じて深呼吸だけに意識を集中する時間を作っているそうです。
瞑想と言うと難しいかもしれませんが、こんな簡単なことでもいいんです。瞑想はたとえ疲れていない時であっても集中力やモチベーションを高めたいときに行うと効果を実感することができます。
さてここで瞑想のやり方についても簡単に触れておきましょう。
ポーズは特にこだわる必要はありません。オフィスであれば椅子に座って膝の上に手のひらを上にしておき、骨盤を立たせて座ってゆっくりと深呼吸をするだけこれで大丈夫なんです。
上手く集中できない時は心地よく、安らげる音楽を再生しながら目をつむってただただ音に意識を預けて頭を空っぽにするようにしましょう。
再び目を開ける頃には頭がかなりすっきりしたと感じることができるはずです。ちなみに著者は Apple Music の Peaceful Music というプレイリストを流すことを勧めていますぜひ。試してみてください。瞑想は Google 社をはじめとしてシリコンバレーでも流行っていたことはよく知られていますよね。
実際、瞑想を長く続けている人は不安感が少なく、物事に対する集中力が高いというエビデンスがあるんです。
毎朝、瞑想を行うのが良い、とよく言われているんですが、これは本当のことなんです。
是非実践してみてください。
また、深呼吸・瞑想以外にも集中力を取り戻すために30分ほどの休憩時間でもできる簡単なことをご紹介します。
"ただただ歩くことを楽しむ"ということ。散歩をしながら視界に入る景色から刺激を受けて、天気がいいなーとか風が冷たいなーとかただ純粋に今を感じましょう。今だけを感じていると未来の不安から解き放たれて、ストレスが軽減することが分かっています。
近年の研究で科学的にも散歩の効果が認められ、特に自然の中を歩くと脳に生理学的な変化が起き、苛立ちやストレスが減り瞑想しているような脳の状態になって、よりクリエイティブな発想が生まれるようになることが分かっています。
リモートワークなどで気分の切り替えがうまくいかない時のスイッチとして散歩を活用してみてください。
2つめは、"疲れてきたら席を立って歩き回ること"です。休憩として社内をぶらぶら歩くだけでも十分に効果があります。階段を上り下りするだけでも気分転換になり血流も良くなり、エネルギーがブーストされるんです。第2の心臓と呼ばれ、血流を心臓に戻すポンプの役割を担う足を動かすことで血流が改善し、脳により酸素が届くようになるんです。
3つめが"ガムを噛むこと"です。席を立つのが難しければガムを噛む。これも有効です。かのことを含めたリズム運動はセロトニンという癒しのホルモンを出すことが分かっています。結果としてストレスの軽減に繋がるんです。
このように様々な方法でリフレッシュすることができますのであなたのお気に入りの方法を見つけてみてください。
さて最後にあなたの集中力を削ぐ原因になったり、あなたの自由時間をたくさん奪っているスマホSNSとの付き合い方について考えてみましょう。
あなたのスマホにはアプリがいくつ入っていますか?動画を見終わったらぜひ確認してみてください。
思いのほかたくさんあって驚くだろうと思います。そして、その中でも必要のないアプリ、ずっと使っていないアプリが意外とたくさんあることに気が付くはずです。
いつか必要な時のために頭を使わずに長いこと放置しているだけのアプリ、これは削除しましょう。いつか便利に使える時が来るかもではなく、今の自分の生活を便利にするかどうかで考えるんです。本当にそのアプリは必要でしょうか。それでも消すのに躊躇してしまう場合はアプリのアイコンをスクリーンショットにして取っておくかアプリ名をメモにしておけば削除しやすいでしょう。
これはデジタルデトックスの一環です。スマホの通知に生活を振り回されるのではなく本当に必要なものだけを自分で選んであなたがスマホを駆使するんです。
スマホの奴隷になるのではなく、自分がどのような人生を送るかを自分で決め、その補助としてテクノロジーを使いこなすために使う機能を主体的に選択する。
この"自分で選択する"ということが非常に重要で、人生の重要度と大きく結びついている。
これは"デジタル・ミニマリスト"の著者であるジョージタウン大学准教授のカル・ニューポート氏の言葉です。
同署によると実際にデジタルデトックスを行った人は近所でのボランティア活動、定期的なワークアウト、読書、楽器の趣味など能動的なことに時間を充てるようになるといいます。
最初に話したように能動的な活動は、あなたの人生の充実度や幸福度を高くしてくれるんです。スマホを見ている時間はその逆の時間、ぜひ能動的な時間を増やしていてください。
とあるデジタルデトックス経験者はいつもそばにないと落ち着かなかったスマホから遠ざかると呪縛から解放されたぶん家族と過ごす時間が増えたり、子供との距離が縮まったと言います。
そして、スマホを使うことで手に入るメリットが減ったとは感じなかったそうです。スマホはほとんどの場合、単に画面を見て暇つぶしするだけの道具になってしまっているんです。
ニューポート氏はアプリを削除したら、いつも手元に置いておくのを止めるように勧めると同時に、スマホに消灯時間を設けることも勧めています。
午後9時から午前7時までは電源を落として使わないようにするんです。そうすることで寝る前に無意識にスマホの画面を見ていたらいつのまにか布団に入って1時間が経っていた、なんていうことは起きなくなるでしょう。
ちなみに私の場合は集中して作業に取り組む時間をはっきりと決め、その間はスマホの電源をオフにして自室から出してしまいます。
その間に届いた通知の確認やメッセージの返信は遅くなってしまいますが、決めた時間の中でその日のノルマをすべて終わらせてから一気に返すようにしています。
今のところそれで問題が起こったことがありません。それよりもそうすることで集中力を途切れさせることなく限られた時間の中で満足のいく仕事量を毎日こなせていますし、メッセージの返信を終えたら再びスマホを手放して筋トレや散歩するなど能動的な時間を過ごすことができているんです。
スマホから離れるだけで密度の濃い時間を過ごせていることを身をもって実感できています。是非皆さんにも試していただきたいと思います。
時間のチェックをスマホでしている人はスマホに不要な時間を取られなくするために腕時計をするのも1つの手です。最初のおさらいにもなりますが、お腹が空いたなぁ、そろそろご飯を食べる時間かなぁ、というインナートリガーからスマホで時間を確認する、アウタートリガーに繋がり、スマホの通知も一緒に確認してしまう、SNSを開くという悪習慣が始まってしまうんですね。
家に時計がないという人は置きましょう。触る、見るな、と思う単純な接触から受動的な時間は始まってしまうんです。
さて、スマホを手放すということを見てきましたが、次にSNSから距離を置くということについても考えていきましょう。
スマホ脳の著者である精神科医のアンデシュ・ハンセン氏は「現代人は平均1日に2600回以上もスマートフォンを触っている。人間がいかに集中力を乱す者に対して弱いかを知り驚いた」と述べています。
人間は新しい情報を知ることによりドーパミンという快楽物質が脳内で分泌されます。しかも、新しい情報を得られるかもしれないという期待をしている時はさらに多く出るのだそうです。
通知が届くと「大事な連絡かも」とスマホを手に取る。スマホを開くと、どんどんと新しい情報が流れてくる・
そして、SNSからは、いいねなどの反応が来るために承認欲求も満たされる。快感に浸り1日中スマホ漬けになってしまうのもわかります。こういった方はドーパミンが垂れ流しの状態なのかもしれません。
スマホは最新のドラックと言えるほど依存性が高いとハンセン氏が指摘するのも納得ができます。SNSは確かに便利で、楽しいツールだと思います。
ただ、先ほど述べたようにドラッグのように依存してしまう危険性が高いということは忘れないようにしましょう。このことは少し笑える話ですが、マイクロソフトの創業者ビルゲイツ、アップル社の創業者スティーブジョブズ氏が揃って子供にはスマホや iPad を見せなかったということから事実に間違いないと言えるでしょう。
ただ、とは言われても先程スマホのいらないアプリを整理することについてお話ししましたが毎日利用するSNSアプリを消すことができるという人はあまりいないんじゃないかなと思います。
しかし、あなたが本当にデジタル・デトックスをするのならば消してしまっても問題ありません。著者はSNSを利用していながらスマホにそのアプリを入れていないそうです。
どういうことと思うかもしれませんがこれはSNSを入り口にして、ネットサーフィンへと移行してしまわないためのテクニックなのだそうです。
まず著者は SNS は基本的に発信することのみを目的に利用し、なるべく見ないようにしているといいます。
もちろん見たい情報があったりクライアントのチェックなどの必要なものは見るんですが、スマホではなく検索エンジンを使ってPCブラウザから見るようにしているんです。
なぜ、わざわざブラウザで見ているんでしょうか。実はこのわざわざがポイントなんです。
いちいち手間をかけてまで見たいものがあるかどうかという壁を作ったんです。この手間をあえて設けてからはSNSをチェックしている途中で、「はい、あと数分これを見たら今日は終わり」と、自然にメンタルアラートが鳴るようになったと言います。
このメンタルアラートが鳴った時に時計を確認し後、何分かで終わりにしようと、時間を決めて切る。あなたが本気ならばこの方法を実践してみてはいかがでしょうか。
「SNSでしか繋がっていない友達がいるからさすがにSNSアプリは消せないよ〜」と思う人もいるかもしれませんが、これを機会にその友人は、"自分の生活ペースを変えてまで関係を持ちたい人なのかそうではないのか"を1度考えてみるのもいいかもしれません.
深く考えずに投稿を見たらとりあえず"いいね"。そんな習慣がついてしまうと相手との関係性と労力のバランスについて考えなくなってしまうんです。
本当に会いたい友人なら電話でもメールでも連絡を取ることはできます。SNSはなるべく利用しないほうがいいという理由は他にもあります。現在はSNSを介して人々は常に世界とつながっている状態です。
つまり孤独になる時間が少なくなっているんですね。そして、それは若者のメンタルヘルスに大きな支障をきたしているといいます。スマホを通して1日中刺激を得ている若者達は自分の感情を振り返って反省したり、自分にも隠していた本音を考え直したり、自分が本当は何を大切に感じているかを考える時間を奪われてしまっているんです。
もはや考える能力すら失っているんです。特にSNSは日常の中でも自分が気に入って残しておきたい、とか他者から反応をもらいたいような、特別良いシーンを中心に切り取っているわけですから、それをずっと見ていたらメンタルに不調をきたしてもおかしくないはずです。
これは若者でも大人でも同じでしょう。強烈な刺激に反応しっぱなしの人生に充実も幸福もないんです。私たちには1人になる時間も時には必要なんです。また生きていくためにはネット上ではなくリアルな社交能力も必要です。
毎日のようにオンラインでやり取りする人間関係の中でこの能力を衰えさせている大人たちも多いと言われています。SNSを見ているといい情報に出会うことも確かにありますが、不快な投稿に心がしんどくなったり、辛い・悲しいメッセージを受け取るなんていうこともありますよね。
この両方を失って代わりに自分のための時間が増えるのであればその方がメリットは大きくないでしょうか。
ということでまとめます。
- 何かに集中して取り組む時はスマホやパソコンの通知をオフにして時間を区切り、途中休憩を入れながら集中力を鍛えていこう。25分の作業と短い休憩をワンセットにするポモドーロ・テクニックがおすすめです。
- スマホの通知に振り回されないよう毎日使っているアプリ以外は削除し、本当に必要なものだけを自分で選択しよう。常にスマホを手元に置いておくことを禁止して、できればスマホに消灯時間を設けよう。
- スマホは最新のドラックと言えるほど依存性が高い。メンタルヘルスの不調や思考能力の低下を回避するためにSNSからは極力距離を置き、自分のための時間を増やそう。
いかがだったでしょうか。
この記事を読んでいる間、あなたは集中ができていましたでしょうか。集中をしていると無意識に体が崩れたり呼吸が浅くなったり、息を止めてしまっていることがあります。1度深呼吸をして休憩しましょう。
そして受動的な時間を使い始めてからどれほど経ったかを確認してほどほどのところで切り上げてみてください。