「クレジットカードで現金を作る」
この言葉を聞いて皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。
もし、クレジットカードのキャッシング枠のことを思い浮かべた方はクレジットカードの仕組みがきちんと理解できている方かもしれません。
しかし、今回取り上げる記事の内容はショッピング枠を使って、クレジットカードから現金を作る方法のことです。
そんなことができるのか、と疑問に思う方も多いと思いますので、その仕組みから解説していきたいと思います。
実はこの方法はかなり危険な方法で、お勧めすることは出来ません。
なぜ危険なのか、現金化の仕組みやそのデメリットをしっかりと知っていただきたいと思います。
クレジットカードを現金に換える仕組み
では、クレジットカードを現金化するというのは一体どのような仕組みなのでしょうか。
クレジットカードの現金化とは
まず、クレジットカードには2つの機能が備わっています。
それは商品やサービスを購入し、後払いにする「ショッピング機能」と、現金を借り入れることができる「キャッシング機能」です。
この2つの機能にはそれぞれ別に利用できる限度額が設定されています。
今回の記事で取り上げている現金化は「ショッピング枠」が対象となっており、本来は商品やサービスの後払いする為に設定されている枠を換金する目的で利用することを指しています。
インターネット上や雑誌の紙面上で当座の資金に困っている利用者にショッピング枠を現金化するように勧誘する広告も見られます。
そんなクレジットカードのショッピング枠を現金に換える仕組みは大きく分けて2種類あると言われています。
その方法は以下の2点です。
- 古物商指定商品購入で現金化
- キャッシュバックによる現金化
ではそれぞれの方法について詳しく見ていきましょう。
クレジットカード現金化の仕組み①:古物商指定商品購入で現金化
この方法は古物商などの営業許可を取っている金券ショップなどが採用している方法です。
手元に現金が入ってくるまでの仕組みは以下の流れとなっています。
- 古物商に相談する
- 指定された商品をクレジットカードで購入する
- 古物商にその商品を持ち込み、買取をしてもらう(現金化)
上記のように仕組みはとてもシンプルです。
普段我々が購入した商品を購入し、不要となった商品をリサイクルショップや古物商に買い取ってもらっている仕組みを利用しているだけのものです。
異なっているのは予め買取を目的としている商品の購入となりますので、「古物商が仕入れたいと考えている商品」を購入してくるということになります。
また、利用者が手に入れたい現金の額に合わせて古物商が商品を指定することになりますので、一見すると双方にメリットがある取引と考えられます。
指定商品購入で現金化のメリット:手数料が安い
この仕組みは簡単に言うと5万円の商品をクレジットカードで購入し、古物商などの業者にそのまま4.5万円程度で買い取ってもらうことで現金を手にするというものです。
この購入金額と買取金額の差額が業者がとる手数料となるわけですが、金券などの換金性の高い商品であれば購入金額の90%以上の価格で買い取りをしてもらえることが多いので、消費者金融などでキャッシングするよりも支払う手数料を抑えられると考えられます。
クレジットカード現金化の仕組み②:キャッシュバックで現金化
インターネット上の業者が謳っているクレジットカード現金化の方法がこのキャッシュバックで現金化という方法です。
この方法はクレジットカードで購入した商品に現金がキャッシュバックとして一緒についてくるというものです。
例えばインターネット上の通販サイトに10,000円のチョコレートの詰め合わせが90%キャッシュバックキャンペーン中という形で出品されているとしましょう。
その商品をクレジットカードで購入すると、商品とともに9,000円の現金が届くといった仕組みです。
「キャンペーン中につき、商品代金の90%を現金でキャッシュバック‼」というようなキャッチフレーズが用いた手法はインターネット上で多く見られる手法です。
利用者の支払い金額からキャッシュバック額を差し引いた10%に当たる1,000円が業者の得た手数料と考えることができます。(実際にはカード手数料や配送料・商品代も引かれますので、キャッシュバック率はもっと低く設定されていることが大半です)
商品にキャッシュバックを付加すること自体は違法ではありませんので、このような方法が通るのが現実のところです。
しかし、支払い日に請求される金額は10,000円のままですので、支払い迄の僅か1ヶ月余りで10%以上の金利を支払っているのと同じ計算になります。
今回はその「おまけ」が現金キャッシュバックということになります。
指定商品購入で現金化のメリット:手続きが簡単で早い
基本的にこの仕組みはネット上で手続きを完結させることができます。
キャッシュバックした現金を商品と一緒に送付する必要はなく、即日銀行振込で対応も可能となります。
つまり、自宅にいながらインターネットさえあれば24時間現金化が出来てしまうことに大きなメリットがあり、現在のクレジットカード現金化業者の主流業態となっています。
クレジットカード現金化の3つのデメリット
このように非常に手軽にクレジットカードの現金化をすることが出来るようなイメージがありますが、実は非常に危険な方法となっています。
利用することを検討しているのであればすぐに止めるべきだと言えます。
続いてはどのようなデメリットが存在しているのかを見ていきたいと思います。
クレジットカード現金化のデメリット①:利用規約違反
何よりのデメリットはこの利用規約違反です。
クレジットカードを申し込み、審査に通過してカードを利用する際に、絶対に守らなくてはならないのがこの利用規約(会員規約)です。
クレジットカード各社はクレジットカード利用目的として「換金目的のクレジットカード利用」を一切認めていません。
この時点でクレジットカードを現金化目的で利用すること自体が禁止行為となっているのです。
利用規約違反者は「残金の一括請求」「カードの利用停止」「強制退会」等の大きなペナルティを受けることになります。
つまり、クレジットカードを今後利用出来なくなることにも繋がってしまうということです。
クレジットカード現金化のデメリット②:違法業者が多い
クレジットカード現金化業者には基本的に国や都道府県の認可がありません。
よって、クレジットカード現金化をしている業者は貸金業者ではないということです。
もちろん買い取り業者の中には警察から許可を取って「古物営業許可証」を所持している業者も存在しています。
しかし、古物商は利用者にお金を直接貸しているわけではなく、あくまで「不要な商品と引き換えに現金にて買取した」という商売の形態です。
また、キャッシュバックを謳っている業者も「顧客サービスの一環としてキャッシュバックで返金した」という一般的な商慣習の中に埋もれている状態なのです。
しかし、そこを隠れ蓑に違法業者が利用者を狙っています。
買取形態でもキャッシュバック形態でも業者は個人情報を手に入れられるので、その後、得た個人情報を他社へ転売し、悪徳業者から電話がかかってくることも考えられますし、犯罪に巻き込まれるリスクが非常に高くなります。
クレジットカード現金化のデメリット③:現金化手法自体が違法の可能性あり
クレジットカード現金化の中でも特に商品買取型の手法は違法である場合があります。
それはクレジットカードで購入した商品の支払いが完了していないのに商品を売却して現金化してしまう場合です。
これは商品の所有権がクレジットカード会社にあるとみなされる「所有権の留保」に引っかかってくる可能性が非常に高いというものです。
つまり、クレジットカードで商品を購入して、その代金を支払う前に他者に商品を売却し、現金化すると「横領罪」または「詐欺罪」に問われる可能性もあるのです。
現時点では利用者が逮捕されるということまでは起きていませんが、支払いが完了するまで商品の所有権はクレジットカード会社が持っているということを考えると大きなデメリットと言えそうです。
実際に事件となっているニュースもあります。
メルカリでは、1万円札×4枚を4万7300円で売るなど、現行の1万円札を額面以上の金額で販売する出品が多数見つかり、ネットで騒ぎになったのだ。落札者の目的は不明だが、落札金額をクレジットカードで決済することで、カード枠の現金化に使っているのでは、という指摘もあった。
引用元:https://news.yahoo.co.jp/byline/okadayuka/20171230-00079865/
なぜ現金化は禁止されているのか
では、なぜクレジットカードの現金化はカード会社によって禁止されているのでしょうか。
クレジットカードで商品を購入し、不要になったのでそれをリサイクルショップ等に売却して現金を得ることの行為自体に問題は無さそうです。
ただし、それは「自分が利用する為に購入した商品」である場合に限るのです。
元から現金化する為に購入した商品はその対象にはならないという認識を持つと良いでしょう。
クレジットカードを現金化することを禁止している理由
クレジットカードはそもそも利用者の信用をもとに成り立っている商品です。
つまり、決められた期日に利用した金額を支払ってもらえるという信用をもとにカード会社は利用者の利用した金額を立て替えています。
「この理由だから禁止します」という内容がカード会社から発表されているわけではありませんが、この観点から考えると、「利用者が支払い不能となるのを防ぐ為」というのが最有力です。
クレジットカードを利用した際、利用者の代金の支払先はクレジットカード会社となります。
もしも利用者が商品代金を支払うことができなくなった場合、損をするのは商品を取り扱っていたお店ではなく支払いを受けられなくなったカード会社なのです。
その為、クレジットカード会社は店舗から商品代金の数%のカード利用料を徴収しています。
しかし、クレジットカードを現金化している利用者がお金に困っていることは明らかです。
そんな中で現金化を許してしまうと、クレジットカード会社だけが一方的に支払い不能リスクを持たされることになってしまうのです。
クレジットカード現金化はデメリットが大きすぎる
取り上げた大きなデメリットからわかるように、クレジットカードの現金化はクレジットカード会社が利用規約で明確に禁止している以上、行えばクレジットカード会社からの信用を失い、利用停止等の大きなデメリットがあります。
また、一般社団法人日本クレジット協会というクレジット会社が加盟している団体では消費者向けに以下の注意を発信しています。
消費者の皆様への注意
1.クレジットカード会社は、換金を目的とするクレジットカードの利用を認めていません。このことは、クレジットカード会社とカード会員との約束事である「クレジットカード会員規約」に記載されています。また、クレジットカードで現行紙幣・貨幣を購入することはショッピング枠の現金化に該当します。このようなことは、規約違反として、「残金の一括請求」、「カードの利用停止」、「カードの強制退会」等のペナルティを受けることにもなります。
2.クレジットカードのショッピング枠を現金化しても、カード利用した代金はクレジットカード会社に支払わなければなりません。その場でいくらかの現金を手に入れたとしても一時的にしのげるだけで、結局は自分の債務を増やすことになります。
3.クレジットカードのショッピング枠を現金化する業者に提供したカード番号や個人情報等が悪用されてしまうことがあります。
4.場合によっては、利用者本人が犯罪に問われることやトラブルに巻き込まれることもあります。