2019年7月30日(火)22:00〜はガイアの夜明け。
現場で働く人にスポットをあてた、本番組は経済ドキュメンタリーとなっております。
千葉県稲毛市にある、スマートコミュニティ稲毛をご存知だろうか。
50歳以上限定の、まさに「人生の楽園」だ。
施設に入居している方は、歩いてすぐの住民専用のクラブハウスを利用できる。
そこでは40以上の趣味やスポーツを楽しめるのだ。
ビリヤードや吹き矢、フラダンスのレッスンまで、ほとんどが講師付きで
初心者も安心して参加できる配慮まで。
フードコートでは美味しい食事を楽しめ、ビールは1杯270円と良心的。
そこで暮らす住人たちは、本当に高齢者なのかと思ってしまうほど活き活きとしている。
入居者は「毎日が楽しい。」と笑顔で語っていた。
今までにない画期的な高齢者コミュニティーが出来上がりつつある。
そんな天国のような素晴らしい施設がある一方で、劣悪な施設もあるのが現状だ。
今回は、様々な形態を見せる介護施設の最前線と、裏側まで迫っていく。
5年間で入居者が430人から830人?大人気の理由とは?
前述したスマートコミュニティ稲毛は、5年前イトーヨーカドーだった場所を再利用して作られた。
当初は430人だった入居者は今では800人を超える人気ぶりだ。
一体この人気の秘訣は何なのだろう。
やはり、食事や趣味などのエンターテイメントの充実は大きい。
入居者は毎日、そこでできた仲間とカラオケなどに興じる。
40以上の趣味やスポーツがあるので、飽きが来ないし新しいことを始める楽しさもある。
さらに毎日の食事は、海鮮から焼肉まで豊富に揃っている。
それらが初期費用や月額費用に含まれているのだ。
必要な費用は以下の通り。
初期費用
・入会金 15,000,00円
・施設利用権利金 1,400,000円
月額費用
・コミュニティーサービス費 42,858円
・食費(朝・夕) 41,905円
そのため、入居中はお金の心配をすることなく美味しいご飯を選んで好きなことをできる。
大規模な施設とコミュニティー、入居者のことを徹底的に考えて作られたサービスが成功の秘訣だろう。
1,300箇所以上を見てきた、介護施設のプロが重視する良い施設の要素とは
有料老人ホーム入居支援センターの上岡さんは、実際に自分の目で1,300箇所以上の施設を見てきた、施設選びのプロだ。
老人ホームを探している人の手助けをする仕事をしている。
彼は今まで見てきた老人ホームを査定し、格付けを行って相談者にどの施設をおすすめするべきか分かりやすくしている。
チェックする項目は30に及び、A〜Fのランクが付けられているのだ。
実際に注意して見る項目は、
- 廊下や食堂に絵や花が飾られているか(長い生活には文化やアートが必要)
- 部屋が正方形かどうか(左右両方から介助が行えるように)
- トイレへの配慮(扉が車椅子でも入れるか)
- 災害時への備え(どこまで利用者のことを考えているか)
- スタッフの対応(目線の高さ、相手の自尊心を傷つけない言葉を使っているか、子供扱いしてないかなど)
- 臭いは無臭か
といったところだ。
実際に上岡さんに案内してもらった80代の女性は、町田にある施設を気に入った様子。
介護が必要ない人と、認知症の人などマンションで階が別れていて、介護が必要になればすぐに受けられるというポイントが良いとのこと。
上岡さんは海外にいた頃、欧米と日本の老人ホームの在り方の違いに疑問を持ってこの仕事を始めた。
アメリカでは、身体が元気なうちから入居して広々とした家で快適に過ごすのに対して、日本では18平米ほどの狭い部屋に弱ってから入るのが普通だ。
日本の老人ホームは、まだまだ改革の余地がありそうだと言える。
スタッフの対応を聞かれた元入居者が「殺されちゃう。」と漏らす劣悪な施設も多い現状
77歳の元施設入居者の女性は、入居していた施設のスタッフの対応について聞かれ、顔を背けながら「殺されちゃう。」と漏らした。
素晴らしい快適な施設がある一方で、劣悪な環境を放置している老人ホームが多いのも現状だ。
ある女性は、スタッフに病院に行きたいと訴えても聞いてもらえなかったという。
やっと家族が病院に連れていった時には、すでに病が進行しており数ヶ月後に命を落としてしまった。
施設は対応していないことを認めず、今も弁護士とともに戦っている。
また、88歳の男性は数年前に妻とともに入居したが対応が悪く実家に戻った。
男性の妻は食事の介助が必要だったが、スタッフはある程度手伝うとすぐに食事を終わりにしてしまうのだ。
仕方なく残った食べ物を妻に食べさせてあげると、次の日からスタッフは食事介助の仕事を放棄するようになったという。
その後、運営会社を問いただすも釈然とした回答しか返ってこない。
利用者は「金づる」?大手老人ホーム運営会社の元職員による内部告発
大手老人ホームで働いていた元職員は驚愕の証言をしていた。
入居者に強制的にお菓子を売りつけるというのだ。
それも糖尿病患者や認知症を患っている人にだ。時には了承も取らずベットに置いて家族に請求していたという。
職員は上司からの命令で、お菓子の売り上げランキングなどというもので他職員と競っていたらしい。
劣悪な老人ホームでは、高齢者を食い物にしているのだ。大手だから安心とも限らない。
上岡さんが依頼を受けた施設再建の鍵とは
東京葛飾区にある施設は、上岡さんに施設改革の依頼をした。
隅々までチェックして食堂を見ると、入居者に笑顔がない。
話を聞くと食事が美味しくないそうだ。
その施設では元々、外部業者に委託し温めるだけで出せるインスタントの食事を提供していた。
上岡さんは、上手な料理でなくても家庭的な味が大事だと言う。
実際に、シェフを雇って食事内容を変えてみると、一気に入居者の顔つきが変わった。
それまでとは打って変わって晴れやかな表情になったのだ。
これから高齢者を元気にするホームとは
高齢者に喜んでもらえる、笑顔溢れる施設を作るにはどうしたらいいだろうか。
やはり入居者の気持ちに寄り添った徹底的なサービス精神が必須だろう。
清潔さや食事の美味しさ、娯楽など高齢者だけでない、私たちが大切にしたいものを提供すべきだろう。
超高齢化社会に入る日本の老人ホームはまだまだ改革の真っ最中である。