
3月19日(木)のカンブリア宮殿は、ある企業の奇跡のV字復活劇を特集。
かつて子供たちの学習教材「科学」と「学習」が売上げの柱となっていた学研。
しかし、少子化と出版不況の影響などで2009年に「学習」と「科学」を休刊すると売上げ低迷。
経営危機に陥るが奇跡の復活を果たした学研の改革手腕に迫る!
目次
かつて「科学」と「学習」で大ヒットの学研とは
fa-arrow-circle-right学研ホールディングス(旧:学習研究社)は、東京都品川区に本社を構える企業だ。
東証一部上場企業で、従業員数は連結で3,651名が在席している(2017年9月30日現在)。
fa-arrow-circle-right学研といえば、子供たちの学習教材「科学」と「学習」を発行していたことで有名だ。
また、現在では発行教材だけでなく、学研教室や保育用品などの製作販売を行っている。
そんな学研が、実は子どもからお年寄りまでをサポートし、売上げを伸ばしているという。
ターゲットが子どもだった学研は、全国に約1万5000教室の塾を運営したり、高齢者向けのサービス付き高齢者住宅の運営・医療福祉事業まで携わるようになり、経営回復を果たしている。
売上げが低迷していた時代から学研はどのようにしてV字回復を図ったのだろうか。
学研、奇跡の復活劇に密着する!!
「科学と学習」の低迷時代から10年。学研の売上げは1400億円を突破!!
「fa-arrow-circle-right学研」といえば子供たちの、月刊誌の教材「学習」と「科学」が人気を集めていた。
1979年、学研の最盛期は「学習」「科学」を中心に年間1000億の売上げを誇っていたという。
当時の小学1年生から6年生までの子供の人口は約1000万人だったが、学研の発行部数が670万部。
つまり、小学1年生から6年生の3人に2人が学研を利用していたという計算になる。
しかし、学研の売上げはピーク時以降、少子化やスマートフォンなどの普及による出版不況の影響を受け、2009年に「学習」と「科学」は休刊することとなった。
すると、学研の売り上げがガタ落ちしてしまい経営危機に陥る。
2009年の休刊から10年経過した今、学研の売上げはなんと1400億円を突破しているという。
売上げの低迷から奇跡のV字回復を果たし、10期連続増収を達成している学研。
果たして、学研はどのようにして経営危機から経営回復したのだろうか。
子供だけじゃない、大人の心も掴んだ「学研」奇跡のV字復活!!
V字回復のきっかけとなったのは、現社長である宮原社長にあった。
かつては、「学習」「科学」などの子供向けの教育出版事業がメインとなっていた学研だが、教育出版の一本化を止めるという決断をした。
大人の心を掴む付録付きの月刊誌を販売しているという「大人の科学」。
大人の科学の付録は、自分で組み立てる蓄音機やドローン、活版印刷機、エレキギターなど大人心をくすぐるものばかり。
発行部数は10万部を超えており、購読者の7割が女性だという。
プラネタリウムクリエイターの大平貴之さんが監修しているピンホール式プラネタリウムは60万部を売り上げたと言う。
付録はすべて組み立て式だが、説明書がついているから簡単組み立てることができる。
子供から大人まで大人気の「東京都英語村」はまるで英語版キッザニア!?
そして、学研の変貌はそれだけでなく、東京・お台場では東京都英語村・TOKYO GLOBAL GATEWAYとして、海外の街並みを再現。
外国人を引き寄せることで、“本物の英語””が体験できるイベントをプロデュースしている。
飲食店や病院をテーマに、外国人と英語で会話をすることができる。
訪れているのは子供だけでなく、英語を勉強したい大人も多いという。
さらに教育分野だけでなく、少子高齢化時代に伴い、医療福祉分野にも力を入れている。
学研は、サービス付き高齢者住宅やデイサービスなどの事業を展開。
高サ住は月々16万2,800円~18万4,800円で住むことができる。(共益費・生活支援サービスを含む)
これまでの教育分野での経験を活かして、大人の認知症予防のプログラムを導入し、人気を高めている。
非正規雇用者時代の経験を糧に営業トップに上り詰めて社長に!!
2009年に「学習」と「科学」を休刊して以降、学研の売上げは低迷していた。
その翌年、社長に就任したのが現社長の宮原さんだった。
宮原さんは防衛大学校出身でかつてはパイロットを目指していたという。
貿易会社に勤務した後、27歳の時に学研に入社する。
実は、宮原さんが学研に入社した当時は、兵庫県・神戸の塾運営の営業現場担当で非正規雇用として働く地域限定社員だった。
しかし、1995年1月に起こった阪神淡路大震災を機に、「被災した生徒の月謝を免除してあげて欲しい」との宮原さんの要望に対し、「それは君の立場で考えることじゃない」と言われ、非正規雇用者の権限に限界を感じる。
宮原さんは、「不遇な人々を助けるためには権限を持たないといけない」と思い、営業で成績を残し、兵庫県の担当から近畿の担当へ。
そして全国を統括するようになり、2010年には社長にまで登り詰めたのだ。
社長に就任した後は経営が傾いていた学研の事業展開を行い、見事業績を立て直し、10期連続の増収と、V字回復を果たすこと成功した。
医療分野への挑戦!!“認知症予防”のプログラム
医療福祉分野においても頭角を現している学研は、超高齢化社会の課題の一つ・認知症治療についても新たな一石を投じようとしている。
島根大学医学部と島津製作所などと連携し、認知症予防や認知機能改善のためのプログラムを開発中。
認知症予防のための脳の活性化プログラムを半年間行った後、MRI検査を受けて鳥取大学に送り、脳に与えた絵協を解析するのだ。
何年後にどのくらいの確率で認知症になるか、もしくはただの忘れっぽさが続く問題のない人なのかを判断できるという。
また、精密機器メーカーの島津製作所とタッグを組み、脳のさまざまな部分の血流量を計り、認知症の早期発見に繋げようとしているのだ。
低迷期を乗り越え、教育だけでない新しい分野でも活躍している学研。
現在は、コロナウイルスでの学校が休校になっていることを踏まえ、会員向けに無料で教材を配布しているという。
学研は活躍の場を広げることで、これまでよりも高い社会貢献をすることもできるということを証明してくれた。
学研だけでなく、新たな分野に挑戦している企業の今後の活躍に期待だ。