今週、3月17日のガイアの夜明けは、春の拡大スペシャル「ゴミを宝に変える!ニッポンの技術」を放送。
ゴミの年間排出量は、2000年のピーク時の5483万トンよりも年々少しずつ減っていると言われているが、環境省によると日本国民の排出した2015年度のゴミの総量はおよそ年間4487万トン。
国民1人あたり、毎日約958gのゴミを排出している計算になる。
しかし、これは日常生活で発生するゴミだけしか含まれておらず、企業や飲食店の廃棄するゴミをプラスすると更に多くのゴミを廃棄していることになる。
今週の放送では、リサイクル率を高めて"ゴミを宝に変える"技術を駆使する日本企業に迫る!!
99%のリサイクル率を誇る「ナカダイ」は従業員の4割が女性!!
廃棄物の処理業者である「fa-arrow-circle-rightナカダイ」は、不要になったモノの様々な使い方を創造している。
群馬県前橋市にあるナガダイの工場には家庭ごみから産業廃棄物まで、毎日約60トンのゴミが運び込まれている。
ナカダイは廃棄物の処理業者というだけあって、高いリサイクル率を誇っている。
2016年の環境省の調べによると、産業廃棄物の平均リサイクル率は約53%だという。
しかし、ナカダイのリサイクル率は99%と高い数値となっているのだ。
細かいゴミの分別作業がある業界で、高いリサイクル率を誇っているナカダイの従業員の4割以上が女性。
男性と比べると手先が細く、器用な女性従業員が多いからこそ、高いリサイクル率を獲得することができている。
さらに、丁寧に仕分けることで、1割増しで買い取ってくれることもあるという。
“いらないもの=ゴミ”の概念を変えたい!!ゴミに新しい命を吹き込む「モノファクトリー」
ナカダイの年商は約7億円にまで成長したが、同社の社長である中台さんはある悩みを抱えていた。
ナカダイのビジネスをさらに成長させるためには「多くの廃棄物が必要」ということ。
しかし、そうなってしまうとお客さんの廃棄物を減らすことをせず、いつまでも「廃棄物を多く出してくれ」と望み続けなければならないのだ。
中台さんはこのジレンマを解消すべく、「fa-arrow-circle-rightモノファクトリー」という新たな企業を立ち上げた。
モノファクトリーは廃棄物を再利用して、新しい付加価値をつけて「新たな商品」として販売するビジネス。
ショールームには廃棄された跳び箱を再利用したテーブルとベンチのセットや太陽光パネルを使った会議用テーブル、古いゴルフのパターを使ったハンガーラックなど、驚きのアイテムが並ぶ。
アイデアを活かして、ゴミに新しい命を吹き込むモノファクトリーの年商は約2億円。
次に、中台さんは若い感性でさらなる価値あるモノを求めて、群馬の工場にfa-arrow-circle-right多摩美術大学の学生たちを招いた。
日本では、年間1億2000万本以上の傘が消費されている。
同大2年の小笠原さんは、生地が剥がれて骨組みだけになったビニール傘を見て、「捨てられてしまうものに対して、捨てられないようにもっと愛着を持って使ってもらえるように僕らがいろいろなものを生み出せればいいのかな」と話す。
学生たちがアイデアを出して作った作品は、アパレル展示会「fa-arrow-circle-rightルームス」にある「ナカダイ」のブースに展示されている。
来場者は2万人を超える中、多摩美術大学の小笠原さんの考えた「捨てられる傘」×「捨てられる服」を組み合わせた傘に中台さんは注目していた。
中台さんは「“いらないもの=ゴミ”という概念をなくしていきたい。」と話し、世の中にいらなくなったものを誰もが素材として使える世界を作ることを目標としている。
プラゴミと生ゴミを瞬時に分別!!「モキ製作所」が生んだ“破袋分別機”がさらなる進化!!
近年、レジ袋やストローなどの生活で利用する身近なプラスチックも、深刻なゴミ問題となっている。
国連環境計画によると、日本人1人当たりのプラスチックのゴミ量は世界2位で2017年の数値は9000万トンとなっている。
そんな状況を打破すべく、長野県千曲市にある町工場「fa-arrow-circle-rightモキ製作所」がプラスチックゴミと生ゴミを瞬時に分別する「破袋(はたい)分別機」を発明した。
モキ製作所は従業員数35名の小さな町工場だが、年商は5億3000万円。
破袋分別機は1998年に食品リサイクル法の施行に先駆けて茂木会長が発明。
全自動でプラスチックゴミと生ゴミを分別してくれるので、従業員が1人でも作業することができる。
破袋分別機の価格は大きさなどによって300万円〜数千万円となっており、自治体や工場などに約1200台導入されている。
破袋分別機はモキ製作所しか作っていないので、売上げは右肩上がりで生産が間に合わないという。
長野の発明王として知られている茂木さんは、1968年の24歳の時に「モキ製作所」を創業。
過去には世界初の「無煙薪ストーブ」や有害物質がほとんど出ない「家庭用焼却炉」など、次々と製品を生み出してきた。
茂木さんの発明は次々と進み、破袋分別機に洗浄・脱水機能を追加した” 新型分別機”の開発を行っていた。
汚れたプラスチックゴミが分別できるだけでなく、汚れをキレイにできる機能が人気を呼び、今では大手食品メーカーも導入しているという。
新型分別機を使ってフィリピン・マニラのパセコ地区の海をキレイに!!
茂木さんは新しい分別機の活躍の場として考えたのは海洋汚染国といわれるフィリピンだった。
今年2月、フィリピンでの分別機の活用を託された野上さんがマニラを訪れた。
マニラの中でも最もプラスチックゴミが多いと言われているバセコ地区の海をみると想像を超えたゴミに野上さんは驚く。
河口付近は地面がゴミで埋め尽くされており、週に1度住民たちが掃除するもプラスチックゴミが流れてくるためゴミが減らず、子どもたちの遊び場となっていた。
3児の父でもある野上さんは「これだけゴミがあるというのはどうにかしたい。その上で子どもが遊んでいるのを見るとなおさら」と深刻な表情を浮かべていた。
早速、フィリピンの環境省で商品をプレゼンし、デモンストレーションを担当者に見てもらえることとなった。
しかし、輸送の関係で1番小さく、洗浄機能のない機械しか準備することができなかった。
野上さんは「(新型分別機を使って)周りに付いているヘドロが落ちてきれいになるかを試したい」と言い、試してみるとヘドロまみれだったプラゴミがキレイになっていた。
この結果に担当者は「機械に入れる前はあんなに汚れていたのにキレイになっている」と驚きの様子。
この機会をゴミ処理施設に導入するとかなり役立つと思うと太鼓判をもらい、今後は地元の代理店を通して販売していくという。
捨てられる古着を糸に戻して高級ニットに!買取業者「ショーイチ」
服の廃棄もゴミ問題で注目されるものの1つ。
中小企業基盤整備機構によると、日本で廃棄される服は年間約94万トンで、まだ着られる服であっても流行遅れなどの理由で処分されている。
そういった”捨てられる服”を利用して新しい服を作る取り組みが行われているという。
そんな取り組みを行っているのは、大阪市にある在庫買い取り業者「ショーイチ」だ。
ショーイチは今年1月にもガイアの夜明けに登場し、年間1000万着の売れ残った服を買い取り、ノーブランドとして格安で販売するというビジネスをしている。
ショーイチの山本社長は”捨てられる服”を利用して新しい服を作る取り組みを始めていた。
ショーイチの倉庫には捨てられる予定だった古着が運び込まれる。
山本さんは、繊維の中でも価値が高い”天然ウール”のセーターを糸に戻して、新たなニットとして生まれ変わらせようというのだ。
山本さんが向かったのは、ウール製品の産地と言われる愛知県一宮市。
ウールのリサイクル専門業者に古着のセーターを持ち込み、ワタの状態まで戻す。
その後に「fa-arrow-circle-right大和紡績」でワタから糸に紡ぐ。
次に山本さんが訪れたのは大阪市泉大津市。
泉大津市は国内トップ1、2を争うニットの町だが、大量生産ができる海外の勢いに押されて衰退してしまっていた。
編み機にリサイクルした糸をセットし編み始めると、抵抗を無くすために糸を強く引っ張るので糸が途中で切れてしまう。
糸が切れたことで穴が開いてしまっていた。
着心地を重視したため、糸をやわらかくしすぎたのだ。
その対策としてスタッフが「ろう」を持ってきた。
ろうをくっつけて糸の滑りをよくし、摩擦を4~6割削減できるという。
実は、日本製のろうが1番いいのだが、作っている会社がもうあまりなく、知っているのは1社だけだという。
商品はクラウドファンディング参加者の133人限定で販売!!
試作品が完成し、商品はクラウドファンディングをしてくれた人に販売するという。
例えば、5280円の応援商品であれば、5280円のクラウドファンディングをしてくれた人に販売する。
天然ウールでも手ごろな価格で購入することができる。
クラウドファンディングに参加してくれた133人で配布すると、「リサイクルという感じがしない。着心地も丈感もよく、万読度が高い」という。
ショーイチは今後も「リサイクルして当たり前」という時代を目指して今日も取り組んでいる。
日本の技術がやれることはまだあるはずだ。