秋といえば毎年行楽シーズンとして盛り上がっている。
秋ならではの紅葉や、温泉旅行などを目的に旅行をする人が多いのではないだろうか。
しかし、中にはこういった旅行パターンがマンネリ化してきて、旅行に飽きてしまったという人もいるはず。
今週のガイヤの夜明けでは、あなたの知らない「癒しの旅」をテーマとして自然やグルメなどの新たなジャンルを開拓する取り組みを追う。
「JAL」「ANA」「ピーチ」競争度の高まる航空業界
旅行の際に使用する航空会社といえば、これまで大手の「fa-arrow-circle-rightANA」や「fa-arrow-circle-rightJAL」が定番だと言われていた。
しかし近年では、「LCC」や「第3の翼」と呼ばれるエアラインが定着し、航空業界では激闘が繰り広げられている。
LCCとは
LCCとは、ローコストキャリア(Low-Cost Carrier)の略。
大手航空会社であるJALやANAと比べると運賃が大幅に安い航空会社のことを指す。
情報化社会の現代では日常に多くの情報が溢れ、SNSなどでも簡単に情報が入手できる。
航空会社を選ぶ人の中には質の高いサービスを求める人もいれば、目的地が同じであれば安価な価格でチケットが購入できる会社を選ぶ人もいる。
このようにユーザーの好みが多様化している中、航空会社は生き残りを賭けて新たなサービスに取り組んでいた。
格安航空会社「LCC」はどのくらい安いの?
ピーチのコンセプトは「空飛ぶ電車」のような価格で思い立ったらすぐに飛び立てること。
格安航空会社と言われるピーチの運賃はどのくらい安いのだろうか?
一般的な大手の航空会社であるJALと比較してみた。
▪️2019年10月30日(水)に東京(羽田)から沖縄へ向かう場合
JAL | ピーチ | |
最安料金 | 21,210円 | 6,740円 |
所要時間 | 2時間45分 | 3時間40分 |
出発時間 | 14:55発 17:40着 | 8:00発 11:40着 |
値段だけを比較するとピーチの方が3倍以上も安く東京から沖縄に行くことができる。
しかし、朝早い時間帯の便なため、JAL同時間帯にしようとすると13:30発 17:10発のフライトで9,240円となる。
それでもピーチなら倍以上の安い価格で目的地に行けるのだ。
""第3の翼"と呼ばれる航空会社「ピーチ」が国内第3位に
昨年11月、航空会社の「fa-arrow-circle-rightピーチ・アビエーション」の代表である井上社長と森副社長がライバル会社「fa-arrow-circle-rightバニラエア」のオフィスに訪れた。
井上社長がバニラエアの社員たちに発表したのは、なんとライバル企業の社長である井上がバニラエアのトップになるということ。
井上からの突然の経営統合発表に、バニラエアの社員たちは戸惑いを隠せない様子を見せていた。
社員は「ネットにあがった記事を見て、名前が無くなってしまいショック」という人や「会社が大きくなっていく兆し」と受け止めている人などがいるそう。
航空会社「ピーチ」といっても、まだ利用したことのない人も多いであろう。
2011年、ピーチは日本初の格安航空会社として誕生した。
これまで東京から沖縄までは片道数万円は必要だったが、LCCだと最安5000円代の低価格で利用できる5690円から行くことができる。
LCCは格安運賃を武器に「目的地が同じであれば安価な価格でチケットが購入できる会社を選びたい」というユーザーをターゲットにしてきた。
ピーチは運賃を低価格するために、チェックイン作業の自動化や座席数を160席から180席に増やすなど、様々な工夫を凝らしている。
その取り組みから国内のLCCではトップクラスの収益を獲得している。
一方、ピーチと同じLCC会社であるバニラエアは近年業績不振を抱えているため、ピーチが統合することとなった。
そして、「ピーチ・アビエーション」は国内21路線、海外19路線を持つ国内第3位の航空会社となった。
「バニラエア」の業績不振を払拭するための新たな取り組みとは?
ピーチの森副社長はバニラエアの業績不振を立て直すために、会社の内情を路線担当者への聞き取りを行っていた。
バニラエアは、もともと差別化として「リゾート路線」で売っていた会社ということもあり、セブ島や石垣島、台湾や香港などのレジャー・リゾート地に路線を展開してきた。
そのひとつの奄美大島への路線は格安航空では初の就航で、当時は片道8,000円から地元は大歓迎。
観光客も増え、初年度の搭乗客は約10万人、経済効果は42億円となり「バニラ効果」ともてはやされた。
しかし、実際の数字を見てみると、夏のハイシーズン以外の集客に苦戦していた。
その理由として考えられたのは、「広告やパンフレットで奄美大島の真の魅力を伝えきれていない」ということ。
今年7月、新たな観光開発を始めるために、ピーチのチームが奄美大島へ向かった。
その中の1人である山﨑さんは2013年にバニラに入社し、創業からバニラで奄美線のPRを手がけてきた。
山﨑さんは地元の人たちと一緒になって奄美の売り出し方を考えていた。
思いついたアイデアの種を書きだし、「クロウサギ ナイトツアー」や「集落歩き」、「黒糖焼酎を楽しむ会」などさまざまなものあったが、山崎さんは「集落歩き」に目を付けた。
パワースポットが好きな人にはたまらない「集落歩き」
普段、集落ガイドを行っている中村さんに案内をしてもらい、「神通(カミミチ)」を歩く。
神通とは、日本の民俗信仰として伝えられた道のこと。
道中では古くから若返りの水と言い伝えられている水にも触れることができ、「パワースポット」が好きな人にはたまらない観光地として紹介できそうだ。
夜の奄美を楽しむ「クロウサギ ナイトツアー」
「クロウサギ ナイトツアー」では、アマミノクロウサギやアカショウビンなどの奄美に生息する珍しい生き物を間近で見ることができるツアーだ。
アマミノクロウサギは奄美にしかいないウサギで、夜行性で耳が小さいのが特徴。
山崎さんは奄美を“癒しの島”だといい、ナイトツアーは夏のシーズンでなくとも楽しむことができ、集客の幅が広がりそうだ。
「国内線から国外線へ」スターフライヤーの新たな挑戦
近年、台湾グルメが人気を集めており、今後台湾への旅行客が増えると言われている中で、ライバルが多い台湾路線に参入した航空会社がある。
大手でもLCCでもない地方の航空会社「fa-arrow-circle-rightスターフライヤー」だ。
スターフライヤーの本社は福岡県の北九州市にある。
2006年、北九州空港の開港に合わせて誕生した「スターフライヤー」は。今や従業員789人、売上399億円。
稼働率を上げるために24時間体制のフル稼働をはじめ、大手に対抗していた。
スターフライヤーはTOTOや安川電機などの北九州市の企業が出資し、浮き沈みの激しい航空業界で生き残ってきた。
しかし、スターフライヤーの社長は「国内に目を向けた時に“羽田枠”があるかどうか、今のところはない。」と危機感を持っているという。
そこで、スターフライヤーは2018年10月より名古屋/北九州から台北へと飛ぶ線をスタートさせた。
挑戦するスターフライヤーに迫る「スターフライヤーを知らない」というユーザー
スターフライヤーは、名古屋/北九州から台北への便を開通させたものの、その実績は北九州線77.7%、名古屋線65.0%の赤字の結果となった。
その理由はなんだろうか。
名古屋の住民に「スターフライヤーを知っているか?」と聞いてみると、フライヤーという単語から「調理器具」を連想する人も。
航空会社だと伝えると「普段小さい会社を使わない」と言う人がほとんど。
広告は出しているものの、誰もスターフライヤーを知らないということが判明した。
純粋な名古屋人の意見を聞くため、名古屋に詳しい「大ナゴヤツアーズ」の代表の加藤さんに話を聞くことに。
スターフライヤーは名古屋の魅力の1つであるモーニングに目を付けた。
モーニングは名古屋の人の生活の一部になっているので、ツアーの中で台湾版のモーニングを企画すれば、名古屋の人にも親しんでもらえるのではないかと考えた。
そして、美味しい台湾モーニグを求め、豆ジャンや台湾ならではのパンやモーニング好きの名古屋人が納得できるメニューを探した。
スターフライヤーでは、これから1年かけて名古屋と台北の文化をシリーズで情報交換しあうことを予定している。
航空会社の取り組みにより、次々と新しいテーマの旅が生み出され、盛り上がる航空業界。
あなたの新しい“癒しの秋旅”が見つかるかもしれない。