毎週火曜日夜10時より放送されている“ガイアの夜明け”。
経済の現場で働く人たちの声などを元に、さまざまな経済ニュースを裏側に迫る人気ドキュメンタリー番組です。
9月3日の放送では、涼しくなったこの季節に食欲の秋の肉戦争として「外食王」シリーズの第7弾、「『肉』の王 戦国時代!」が放送されていました。
外食業界では、日々熾烈な戦いが繰り広げられています。その中でも盛り上がりを見せているのが、「肉」を扱う外食業界。
新しい店舗が次々と登場する中、その戦争で生き残れなかった次々に店舗を余儀なくされています。
そんな中でも立ち食いスタイルで圧倒的な安さを実現している人気ステーキ店“"いきなり!ステーキ"”の戦略とは?
また、最近じわじわと人気を伸ばし、利用者の増えている“ひとり焼肉”の驚きの出店戦略に密着。
新アイデアで業界に革命を起こす2社に迫ります。
圧倒的安さが売りの立ち食いステーキ店「"いきなり!ステーキ"」復活の大胆戦略
グラム単位の量り売りを行い、圧倒的な安さを誇る立ち食いステーキ店という斬新なスタイルで、人気を集めていた「"いきなり!ステーキ"」。
総店舗数483店舗と、飛ぶ鳥を落とす勢いで急成長した"いきなり!ステーキ"でしたが、昨年末頃から客離れという深刻な大きな壁に立たされているのです。
客数に伸び悩むようになったのは2018年4月。
前月の3月は13.9%増、2月は12.7%増と客数を伸ばしていました。
しかし、状況は一転し、2018年4月から来店者数が減るようになってしまいました。
それに比例して、売上も低下。
2013年に創業し、2017年には米ニューヨークに11店舗を出店。
現地の人気は伸び悩み、2019年2月以降では、9店舗が閉店。順調に売り上げを伸ばしていた国内店舗も、昨年から売り上げが16ヵ月連続で前年割れ。
その理由は「カミナリステーキ」や「やっぱりあさくま」などの、同じようなシステムのステーキ店が増えたことだとされています。
しかし、"いきなり!ステーキ"を運営するペッパーフードサービスの社長である一瀬さんは、「これも試練の一環」とし、打開策を考案しています。
というのも1970年、一瀬さんは28歳の時に洋食店「キッチンくに」を創業した後、「ペッパーランチ」を全国展開しました。順調に見えた一瀬さんでしたが、店員による不祥事や食中毒の発生問題で、一時は倒産寸前まで追い込まれたこともありました。
人気を"いきなり!ステーキ"は「大胆戦略」ピンチをクグリ抜けることに。
ステーキにオイスターを加えた「オイスター+ステーキ赤坂」が開店!!
一瀬さんが墨田区の本社会議で、地域に合わせた店づくりとともに考案したのが、ステーキにオイスター加えた店舗をつくること。
提供する"牡蠣"は富山県入善町の「海洋深層水かきセンター」まで自ら足を運んで確認。
全国から集めた牡蠣を浄化する施設の様子を見学・試食していました。
「僕が食べたいものなら、大勢の人が食べたいはずだと信じている」という一瀬さん。
「オイスターバーに行ってもおいしいステーキはない。リーズナブルで両方売っている店があったら僕は行く」
と自信を持って取り組んでいました。
8月1日、東京・赤坂に系列の実験店舗として「オイスター+ステーキ赤坂」が開店。
ステーキと牡蠣を取り扱っているお店だということが一目で分かるように、看板はシンプルに。
オープン当日の売り上げ目標は100万円。
午前11時にオープンしたお店には店の外にまで客が並びます。
ランチにはリーズナブルな1000円程度の価格設定。ディナータイムには牡蠣を注文するお客も。
オイスター+ステーキ赤坂では、選び抜いた岩がきと真がきを使用しています。
客足も順調に見えた午後8時には状況が打って変わって、客足がピタリと止まりました。
お店は人が賑わう大通りを挟んだホテルやオフィスビルの並ぶ一角にあるので、夜遅くになると人通りが途絶えるのです。夜8時以降はほとんどお客が入らず、売上は53万4000円。
グランドオープンでの結果を真摯に受け止めていましたが、旧店舗のステーキくにとオイスター+ステーキ赤坂を比較すると、旧店舗の売り上げを下回る日が続いていました。新しい売り方をした時には、一度お客が来なくなるのは当たり前だと言う社長。
店長の石井さんは夜の対策として、30分から1時間のサイクルで“牡蠣の売り子販売”をしたいと社長に自ら提案。
大きなバットに氷を入れ、山盛りに盛られた牡蠣を持って、まずはトライしてみることになりました。
丁寧な牡蠣の説明と実物を見られる安心感から、お肉を食べに来たお客が予定変更し、石井さんオススメの牡蠣を注文。
店長の押井さんも「"いきなり!ステーキ"」以上に価値があるものを作っていきたいと話していました。
一人焼肉の特許出願中 「焼肉ライク」
一方、肉業界の新興勢力として1人1台の無煙ロースターで"ひとり焼肉"を楽しめる「焼肉ライク」が登場。
焼肉ライクは「焼肉のファストフード化」を図るため、全国300店舗の運営を目標とする一人焼肉推奨店として特許出願中の焼肉店です。
焼肉ライクは、大きなお皿でうどんを提供する“つるとんたん”などを運営する「ダイニングイノベーション」が2013年に創業したお店です。
日本食に「今までにない新しい価値」を加えた新業態を生み出し、国内はもちろん、海外に伝えることをミッションとしているダイニングイノベーション。
そんなダイニングイノベーションが目をつけたのは"おひとり様×焼き肉"。
みなさんも“ひとり焼肉”という単語を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
近年、ひとりで焼肉が食べられるひとり焼肉専門店がブームとなっています。
自分の好きな部位を自分好みの焼き加減で食べることができますし、サッと立ち寄ることができるので、人気の理由。
焼肉ライクの店内には、各席に無煙ロースターが設置されており、おしぼりやお箸などは各自がテーブルの引き出しから取り出すセルフ式です。
ひとり焼肉専門店なので、まわりの目を気にすることなく1人で気軽に本格的な焼き肉が食べられると若者を中心に人気を集め、都内を中心に10店舗を展開しています(2019年9月3日時点)。
実は、ダイニングイノベーションを創業した西山さんは人気焼き肉店“牛角”を創業し、拡大させた人物。
「近年、明らかに個食化が進んでおり、牛肉の消費も上がっているのに、どうして1人で食べられる焼き肉店がないのか」と考え、新業態である“ひとり焼肉専門店”を出店したそう。
焼き肉ライクの特徴は注文から提供までの時間の早さ。「早い・うまい・安い」をモットーにしている焼肉ライクの提供時間はなんと42秒でした。
提供時間の早さから1日の客の回転数は最大でなんと18回転だそうで、これは通常の焼き肉店の約4.5倍です。上質の肉を安く提供できるのはそのおかげ。
さらにそれだけではなく、回転率を良くするため、店員の作業の100項目以上をマニュアル化し、3分以内にお客様へ料理を提供することを店のルールにしているのです。
39歳の若さで社長を務めるのは社長の有村さん。「3分が当たり前(ルール)だったら、じゃあ2分にできないか。ベストは座った瞬間にもう出てくること」だと言います。
有村さんは、西山さんの企業理念に共感して入社。
「焼肉ライク」をフランチャイズとして、全国300店舗に展開させるため、フランチャイズ契約を結んだのは人気ラーメン店の幸楽苑(こうらくえん)。
実は、神奈川県海老名市では、幸楽苑の店舗数増加により、わずか4キロ圏内の6店舗で顧客を取り合うという状態になっていました。
全国展開を目指す焼肉ライクと競合店舗を解消したい幸楽苑の双方の思惑が一致してタッグを組み、今年8月に幸楽苑の1つの店舗が「焼肉ライク」としてリニューアルすることになったのです。
オープン当日。オープンセールでカルビとハラミのセットが290円ということもあってか、店の前の道路には200人ほどの大行列が出来ていました。
広々とした店内にはお年寄りや家族連れの姿やカウンター席ではママ友同士が子供と一緒に座っていました。
「普段は子供に食べさせているので、自分がどれだけ食べたか分からなくなるので、自分のリズムでできるからすごくいい。」とご満悦。
また、300円を握りしめて来店していた近くに住む小学生もいました。
焼肉ライクはイベントとして、女性限定で全商品半額のイベントを行っています。
その目的はひとり焼肉へのハードルを下げ、女性1人でもひとり焼肉を楽しみやすくしたいという狙いが。
しかし、通常の平均滞在時間は25分ですが、この日は1時間30分以上の滞在など大幅に時間を超えるお客が続出しましたが、その分客単価が高いということが分かりました。
盛り上がりを見せる焼肉業界。其の快進撃はどこまで続くのでしょうか。
今後の盛り上がりに期待です。