ポテトチップスはお菓子の中でも人気の商品。
しかし、近年その販売価格は実は10年間下がり続けており、苦戦を強いられている。
ポテトチップスのメーカーといえば、「fa-arrow-circle-rightCalbee(カルビー)」と答える人が多いのではないだろうか。 そんな中、圧倒的王者のカルビーを驚かすある企業の存在が大きくなっているという。
今週のカンブリア宮殿では、総合スナックメーカーのfa-arrow-circle-rightコイケヤの戦略に迫る。
ポテトチップス業界の絶対的王者「Calbee(カルビー)」
ポテトチップスのメーカーと言えば、思いつくのは人気メーカーである「カルビー」。
実際に人気のあるポテトチップスのメーカーはどのメーカーなのだろうか。
最新トレンドを気軽にチェックできるサイト「ウレコン」を参考にすると、2019年3月時点のポテトチップスの売り上げランキングは次のようになった。
ポテトチップスの売り上げランキング
さすがはトップメーカーと言うだけあり、1~3位まではカルビーの商品がランクイン。 4位にヤマザキビスケットのチップスターが入ったものの、5位からは再びカルビー一色。 8位には湖池屋のポテトチップス のり塩味がランクイン。 この“湖池屋”こそが今回カンブリア宮殿に登場する革新を遂げている企業なのである。
1967年に日本で初めてのポテトチップスの量産化を成功させた「湖池屋」
東京都板橋区に本社を置く湖池屋、今年で創業66年を迎えるスナック業界の老舗だ。
湖池屋は創業以来、世の中にいつも驚きを与えてきた。 湖池屋の創業者である小池和夫がポテトチップス出会ったのは、小池が酒のおつまみの製造していた頃であった。
当時、居酒屋でポテトチップスを食べると「こんなに美味いものがあるのか」と衝撃を受け、独学でポテトチップスの研究を開始。
1967年、研究の成果により小池は日本で初めてのポテトチップスの量産化を成功させた。 それからというもの、1984年には唐辛子を思いきり効かせた「カラムーチョ」を販売し、子供のお菓子は甘いものをいう常識を覆し、日本で初めて辛いスナック菓子を生み出した。
また、1994年にはメキシコのトルティーヤをスナック菓子として楽しめる「ドンタコス」や「ポリンキー」など、新しい商品を生み出すパイオニアとして知られていた。
1975年、「カルビー」ポテトチップス業界への参入
さまざまな新商品を生み出し、順風満帆に見えた湖池屋。
しかし、これまで「かっぱえびせん」が主力商品であったカルビーが1975年にポテトチップス業界にカルビーが参入し、たちまち業界1位の座を奪われてしまう。
それかた湖池屋はカルビーの後を追いかける存在になってしまった。 その状況を打破し、湖池屋に新たな風を吹かせたのが、現社長の佐藤である。
湖池屋の現社長である佐藤はもともとfa-arrow-circle-rightキリンビバレッジ株式会社で「生茶」や「FIRE」などの商品企画としてヒット商品を開発した人物。 1975年にポテトチップス業界にカルビーが参入して以来、ポテトチップス業界はカルビーが7割のシェアを占めていた。
そんな中、湖池屋のトップに就任した佐藤は当時浸透していた「カルビーの後追い精神」を一掃。 「常にオリジナルの戦略で勝負する。」という思考を持ち、湖池屋を挑戦する組織に変えたのだ。
ポテトチップス「もも」「みかん」「ばなな」
2015年、湖池屋は「もも味」や「ばなな味」などの斬新なフレーバーのポテトチップスを販売。
これまで世の中にないものを作っていた湖池屋はその輝きを失っていたことを一掃しようと心がけたのだ。
開発部門にいた社員も「カルビーに追い付こうと必死だった。万年2番手だった中で、ちょっとでも他社のすねをかじれないかと考えていた」と言う。
しかし、新商品を食べたユーザーの評判は決して良いものではなかった。 そんなこともあってか、ある新商品についての考案会議では、寿司ブームに乗っかった「ガリ味」やパーティーで楽しめる「ワイン味」のポテトチップスをプレゼンする社員の姿が。
そんな商品会議の状況を見て「湖池屋らしさが無くて寂しいというか、がっかりした」と言う佐藤。
新たな戦い方を見つけていく中で、佐藤は湖池屋の創業者ある小池が残したある決定的な言葉に出会う。 「ただ作ればいい ただ売れればいい それじゃだダメ。手掛けた以上は完全にものにする。
その業界で最高のものに持っていく」という言葉だ。 佐藤はこの言葉を聞いて、ものづくりへのこだわりと品質にこだわる信念に立ち返らないと何も始まらないと考えた。
業界トップを追いかけない!オリジナルの戦略で勝負する「湖池屋」
2016年に就任した現社長の佐藤の革新の元、「業界トップを追いかけず、オリジナルの戦略で勝負する」と決めた湖池屋は素材にこだわった商品を続々と販売し、再び勢力を上げている。
もともと「カラムーチョ」や「ポリンキー」など、新しい商品を生み出すパイオニアとして知られていた湖池屋の精神は受け継がれており、入社5年目の野村が去年開発したのが、働く女性をターゲットにした「湖池屋 ハッシュドポテト」。 「湖池屋 ハッシュドポテト」は手につきにくいコーティングをしており、仕事中にはピッタリ。
佐藤が新しい商品をプロデュースする上で大切にしているのがターゲティングだ。 ある会議では湖池屋の商品「スコーン」はジャンクなイメージを持たれているため、“脱・ジャンク化”のためのミーティングが行われていた。 その中で佐藤は「ターゲットが反応する言葉」について言及していた。
例えば、伊勢海老味のスコーンを販売するのに「スコーン伊勢海老味」というシンプルなものではなく、「スコーン海老の鬼がら焼」にするなど、その文字を見て匂いまで連想させるというもの。
佐藤は「業界2位だから、思い切ってできることがある。2位が市場を変えてもいいではないか」、「多様性があれば、仕事は何倍も楽しくなる」という。
こういった佐藤の考えが、消費者から「万人受けしないものもあるが、挑戦している」や「商品がちょっとリッチになった」と好評を得て、湖池屋を再ブレークさせているのだ。
佐藤が大切にしているのは「手書き」。 手書きのメモやノートなどを見ると、「あの時にこの人がこう言ったから、私はこう書いたんだ」と記憶が蘇ってくると言う。 さまざまなものがネット化されている中、佐藤の“記憶をよみがえらせる手書き”の大切さが、湖池屋の改革に繋がっているのかもしれない。