
1月23日(木)の「カンブリア宮殿」では、現場などで働く人々の”安全”を守る「安全靴」や「ヘルメット」、「作業服」などを販売する「fa-arrow-circle-rightミドリ安全」に密着。
国内トップのシェアを誇る「ミドリ安全」は、一体どのようにして多くの企業から頼られる存在になったのだろうか。
「カンブリア宮殿」が、巨大メーカーの強さの秘密に迫る!
目次
「ミドリ安全株式会社」とはどんな企業?
東京都渋谷区に本社を構えるミドリ安全株式会社は、1952年6月に設立してから約70年にわたり、安全靴、ヘルメット等安全衛生保護具などの商品を販売してきた。
従業員数は1,662名(販売会社を含む正社員)。
1952年、ミドリ安全は「1足の安全靴」の販売とともに「足を守る靴」を目指してスタートした。
1963年には服飾部を設置し、ユニフォーム・ワーキングウェアの製造販売を開始。
10年後の1973年にはブラジル・サンパウロ市に皮革製造会社「トランチカ皮革工業有限会社」を設立。
1988年には中国広東省広州市に第一号のユニフォーム工場として、日中合弁の「広東東方友誼服飾有限公司」を設立するなど、幅広く海外事業を展開している。
トップ企業に頼られる「ミドリ安全」の大ヒット商品“ハイグリップ”はこんな企業でも活躍していた!
引用元:(https://ec.midori-anzen.com/shop/e/ea190_001/)
ミドリ安全というと、「名前を聞いたことがない」という人が多いかもしれない。
しかし、大手飲食チェーン店などで長く働いていた人であれば、ミドリ安全が作る大ヒット商品「fa-arrow-circle-rightハイグリップ」を使ったことがあるという人も多い。
「ハイグリップ」とは、飲食店などの油や水で滑りやすくなっている厨房でも滑りにくい靴。
大手飲食チェーンの「fa-arrow-circle-right王将」や「fa-arrow-circle-rightマクドナルド」、「fa-arrow-circle-rightニトリ」などで導入されており、累計2500万足を売った大ヒット商品だ。
ミドリ安全の安全靴のシェアは40%以上、ヘルメットはシェア24%、ほかにも職場ユニフォームなど5万点のアイテムが揃っている。
なぜ、飲食店で「ハイグリップ」がヒットしたのかというと、飲食店が行っていた“労働災害対策”が関係していた。
飲食チェーン店の経営者の悩み「労働災害に直結する事故を防ぎたい」
実は外食産業では、労働災害の約3割が「転倒事故」が原因になっている。
経営者にとって、自社で働く従業員には長く元気に働いてほしいもの。
そこで、飲食チェーン店の経営者の多くは、油が付着した厨房の床で滑って転倒するなどの、労働災害に直結する事故に頭を悩ませていた。
そんな悩みを解消するための「技術力」がミドリ安全にはあった。
ミドリ安全は物流センターなどの職場で圧倒的な支持を集める「安全靴」や、体にたまった静電気を地面へと逃がす「安全靴」。
そのほかさまざまな業種に向けた「安全靴」を発売し、仕事の現場に「安全」に欠かせない存在となっている。
例えば、餃子の王将で使われる安全靴は「滑りにくい」、ニトリで使う安全靴は「金づちで叩いても痛くなく、家具などを運ぶコンテナが靴に乗り上げない」仕様、消防署で使われている安全靴は「燃えにくく、釘などを踏み抜かない」。
この「技術力」こそが、ミドリ安全の成長の秘密なのだ。
ミドリ安全が誇る、驚きの技術力の秘密とは一体なんだろうか。
社長に就任して以来、売上倍増!ミドリ安全の凄腕経営者
ミドリ安全現社長の松村さんは、社長に就任して以来、売上倍増している凄腕経営者だ。
売り上げアップの原動力は他社を圧倒する商品開発力だという。
次に開発を行っているのは「手荒れしないゴム手袋」。
この日は「手荒れしないゴム手袋」の耐久試験を行っていた。
前タイプのゴム手袋は耐久性がないため、いざというときに切れてしまっていたという。
耐久性を良くした新しい「手荒れしないゴム手袋」は伸ばしてもなかなか破れない。
このゴム手袋にはホームセンターも注目しているという。
ベトナムのハノイでは、働く人が快適に過ごせるアイテムを製作しているという。
通常、何か作業をしており、座り込むパンツがずれてしまうが、「楽腰パンツ」は座ってもズレずに作業しやすい。
ミドリ安全の商品ラインナップは「あったら便利・安心」なものが多いが、こういったアイデアはどこから生まれているのだろうか。
現場の声が商品を進化させる! ?ミドリ安全の営業マンの秘密!
ミドリ安全の営業所は全国に181ヵ所ある。
約70年に渡るミドリ安全の躍進の中核を担ってきたのは、全国の営業所で働く650人の営業マンだ。
営業マンは、もちろん基本的には営業の仕事を行っているが、ミドリ安全が「取引先の悩み」を解決できるようになったのも営業マンのおかげ。
販売に代理店を使う企業も増えているが、ミドリ安全は自社の営業マンに任せている。
というのも、営業マンが聞いてきた現場の悩みをもとに、それを解消する商品開発に力を入れているからだ。
「現場の悩み」というのは一見、「その取引先に限った悩み」に見えるかもしれないが、ふたを開けてみると、同じ業界の企業が同じ悩みを持っていることも少なくない。
そういった「悩み」を解消することでミドリ安全は、他社を圧倒する技術力と品揃えを実現させ、年商1100億円を築き上げてきた。
業界トップになった今も、この商品開発の手法は続いている。
営業マンは取引先のどんな小さな声も聞き逃さず、悩みに向き合い、それを解決すべく商品開発を続けるミドリ安全。
取引先からは「我々の細かい要望でも“安全”を追求してくれるので、ありがたい。」と信頼の声が寄せられている。
営業マンの気付きから生まれた「ハイブリッド型 救命胴衣」
ミドリ安全の商品には、営業マンの気付きから生まれたものも多くある。
ミドリ安全が3年かけて開発した「ハイブリッド型 救命胴衣」もそのうちの1つだ。
高所で作業していると、誤って高所から落ちてしまい、気絶することも。
そんな時に、仰向けに倒れれると、息ができるので命が助かる。
「ハイブリッド型 救命胴衣」は仰向けに倒れるとうになったり、水を感知すると膨らむようになっている。
始まりは「顧客の悩み」から 滑り対策のわずか3年後に大ヒット商品が誕生!
現社長の松村さんが社長を引き継いだのは1991年のバブル崩壊で不景気の時代。
同じ商品であれば買ってくれず、売りに行っても値段が下がるだけという状況が続いていたという。
そんなある日、取引先のミスタードーナツから「床が油で滑って困っている」という声が耳に入った。
当時の運動靴は合皮製なので、滑り対策はほとんどされていなかった。
そこで、松村は製造業向けの一辺倒ではなく、サービス業向けにも靴を開発してはどうかと考えたのだ。
製品づくりには元がないので、まずはゴム作りかのゼロからスタートしなければならなかった。
当時開発を行っていた櫻井さんは「午前さまはしょっちゅうで、できないとか途中で終わりという感覚は一切なかった」と語っている。
そして、3年後に接地面を平らにした「ハイグリップ」が誕生し、大手飲食店が軒並み採用し、現在の地位を手に入れた。
ミドリ安全が力を入れている「防災グッズ」
最近、豪雨などの肥自然災害が多い。
ミドリ安全はこういった被害に備えた「防災グッズ」も販売している。
例えば、インソールとして靴に入れておくと地震の際などに落ちている破片を踏んでも踏み抜かない鉄板が入ったインソール(1507円)やそのまま食べられる保存食セット(3日分6264円)など。
日本発の5年保存できるパンも話題になっており、このパンなら避難所で問題となるゴミもコンパクトにできる。
また、オフィスの引き出しに畳んで収納できる「折り畳みヘルメット」も人気の商品となっている。
「安全や命を影で支える」これがミドリ安全のものづくりなのだ。
初めは「顧客の悩み」を解決することから大ヒット商品を生むことができたミドリ安全。
あなたも周りの人の小さな声で、大ヒット商品の“カギ”をなるもとを誕生させられるかもしれない。
そのためには、日頃から「発想」や「ひらめき」を大切にすることが重要だ。