
「借金があるのですが、今の返済額よりも減らす方法はないでしょうか」
この質問はネット上だけでなく、弁護士事務所等にもたくさん寄せられている質問です。
現在の返済額よりも減らす方法として現在の借り入れ状況に応じて2通りの方法があります。
- 1つ目は現在借り入れている金融機関が1社のみの場合「現在の借入先をやめて、より支払う利息負担が小さい(金利が低い)金融業者に乗り換えること」です。
- 2つ目は現在借り入れている金融機関が複数社に跨っている場合「借入金を1社にまとめて、支払い利息や返済の負担を減らすこと」です。
前者の方法を可能とする商品が「借り換えローン」、後者が「おまとめローン」と呼ばれ区別されていますが現在両商品にほとんど違いはありません。
今回の記事では、この2種類の商品を徹底的に比較し、どの商品を選択するべきなのかを解説しようと思います。
借り換えローンとは
まずはじめに、借り換えローンとはその名の通り「他社で借り入れている借金を別の会社で借り入れるためのローン商品」です。
別名でとして「乗り換えローン」と呼ばれることもある商品です。
現在の約定金利よりも金利が低いローン商品に乗り換え、月々の返済金額や総返済金額を減らし、完済を目指すことのできる商品です。
借り換える際に今ある借入金を一括で繰り上げ返済し、新たに借り入れた貸金業者へ返済を開始するのが通常の流れとなります。
借り換えローンに向いていない業者がある
借り換えローンを大きく宣伝していながら、利用してみると実は全然得することが無かったという業者も存在しています。
そもそも借り換えの目的は支払う利息を減らし、月々の返済の負担を小さくすることです。
しかし、借り換えローンの宣伝に誘われ、借り換えた結果、借金を増やすことになってしまったというケースもあります。
なぜ、そのような結果になってしまうのでしょうか。
支払う利息を比較する
これは非常に初歩的なミスとなるので、絶対に避けたい失敗ですが、「借り換える前よりも支払う利息額が高額になってしまう」というケースです。
貸金業者が借り換えローンを宣伝をする際に金利を「4.0%~18.0%」というように幅を持たせた状態で表示していることがほとんどなのではないでしょうか。
この4.0%のことを下限金利、18.0%のことを上限金利と呼び、実際の借入時に下限金利が適用されるのは商品の限度額限界までの借り入れの時しかありません。
この金利は審査が終了し、審査通過後に融資条件が提示されるまで分かりませんので、上限金利でシミュレーションするようにしてください。
月々の返済額が少ないことや返済期間を延ばすことが出来ることに飛びついてしまうと、月々の返済額は数千円しか違わないのに、完済までに支払う金額は数十万円の大きな差がついてしまいます。
注目すべきはシミュレーションで返済期間を2倍に延ばしたのに、月々の返済額は僅か2,500円程度しか変わらず、しかし、支払利息は25万円以上も多く支払う必要があることです。
つまり、借り換えをする際には以下の内容を謳う業者には十分に気を付ける必要があると言えます。
- 返済期間だけを延ばすことを強く勧める業者
- 月々の返済額を異常に低く設定する業者
返済期間だけを伸ばすことを勧める借り換え業者は選ばない
金利等の条件は変えることなく、「返済期間を延ばして月々の返済金額を減らしましょう」という提案をしてくる業者が時たまあるようです。
このような業者は利用者に月々の負担額を減らしているように装いながら、実は長期的に考えると返済総額としては借り換え前よりも大きな利益を申込者から挙げています。
確かに月々の返済金額は減少することが多いのは事実です。
しかし、収入がよほど少なく、数千円でも支払額が減ると助かりますという状況でない限りは期間の延長は利用しない方が良いでしょう。
月々の返済額を異常に低くする業者は選ばない
先述しましたが、家庭の収支状況によっては月々の返済金額が少ない程、家計として短期的に助かるのは間違いありません。
しかし、当然ながら返済金額を減らせば返済期間は長くなり、その分の利息は年利で計算され、元金も減りにくくなる為に支払利息は高止まりします。
基本的に借り換えのシミュレーションで現在の月々の返済額を下回っている借り換えは最終的には損をする可能性があります。
借り換えを申し込む前に必ずシミュレーションをして、支払利息を含めた総支払金額を確認、比較することをお勧めします。
おまとめローンとは
続いておまとめローンとは一般的に「複数の業者から借り入れている金銭を一つの借り入れとしてまとめるローン商品」のことです。
おまとめローンは総量規制の例外となっており、一時的に年収の1/3を超えていたとしても借り入れた後、他社の借入がすべて返済されるので利用することが出来ます。
しかし、よく似た商品で用途自由のフリーローンでまとめる場合は、総量規制の対象となりますので、おまとめローンを利用する方が安全だと考えられます。
おまとめローンを利用する際の審査の流れ
では、おまとめローンを実際に利用する際、どのような審査の流れになるのでしょうか。
大手消費者金融のアイフルのおまとめローン「おまとめMAX」を例に解説します。
この商品は来店契約と郵送契約の2パターンの契約プロセスがありますが、審査の流れは大きく変わりませんので、この記事では郵送契約の場合を取り上げます。
- ネットで審査をお申し込み(申込者)
- 審査結果のご連絡(アイフル)
- 契約関連書類・カードをご自宅へ郵送(アイフル)
- 書類記載の上返送(申込者)
- 書類確認後、融資(アイフル)
- 他社(各社)へのご返済(申込者またはアイフル)
※アイフルホームページより引用
おまとめローンのメリットと注意点
おまとめローンを利用するメリットは「複数社に跨っている借り入れを1社にまとめられること」です。
そしてまとめる先は現在の借入先でも全く異なった業者でも構わないという点も嬉しいポイントです。
おまとめローンの返済期間は最長で10年間と非常に長期なので、月々の返済額を減らして現在の家計に余裕を持たせたい方には非常に魅力的な商品ではないでしょうか。
また、複数の借入金を1社でまとめることになりますので、金額が比較的大きくなります。
その為、低金利のローンにまとめられる可能性が高く、結果的に支払う利息分も含めた総返済額がおまとめ前の予定額よりも抑えることが出来る可能性があることも大きな魅力です。
返済日・返済先も1ヶ所となりますので返済計画が立てやすくなるというメリットもあります。
しかし、一方でこちらの場合も借り換えローン商品と同じく、支払期間が長期間になればなるほど支払利息も増えていくことになるので、総返済額が増加してしまうこともありますので事前のシミュレーションが不可欠です。
この点にはおまとめローン利用の目的をはっきりとさせた上で十分に注意することが必要です。
借り換えローンとおまとめローンの違い
ここまで読んで、気づかれた方もいらっしゃるかもしれません。
この2つのローン商品は非常によく似た商品です。
強いて言うのであれば、借り換えローンは1つのローン商品を別のローン商品に乗り換える「1対1」の商品に対して、おまとめローンは複数のローン商品を1つのローン商品に一本化する「複数対1」の商品なのです。
しかし、先述の通りこの境界線は非常に曖昧です。
この記事では上記の様に分けて比較しますが、実際の商品としては業者によって呼び方が異なっていると考える方が自然だと言えます。
その為、現在1ヶ所からの借入しか行っていない方、または借り入れている商品のうちの1つだけを借り換えすることを検討している方は「借り換えローン」、複数の借入先があり、それを一つにまとめたいと考えている方は「おまとめローン」を利用するのが良いでしょう。
借り換え・おまとめローンを利用する4つのメリット
では、両商品を利用するにあたっての共通するメリットを4点紹介します。
- 金利が下がる
- 月々の返済額と支払利息の減額
- 他の目的での借り入れが出来ない
- 信用情報に傷がつかない
借り換え・おまとめローン利用の4つのメリット①:金利が下がる
一般的に金利は借入金額が大きい程下がる傾向があります。
業者としては大きな金額を借り入れていただいたお客様が自然と長いお付き合いになっていくことが多いですし、他商品の提案チャンスも多くなるので重要な利用者となるからです。
しかし、借入金額が大きい利用者に約定金利を高く設定しすぎるとすぐに他社に乗り換えられてしまったり、返済が滞ってしまったりするリスクがあります。
その為、各社ともに大口の顧客はお得意様として有利な金利を設定することが多いのです。
おまとめローンでもこの傾向は継続され、大口の借り換えとなった場合は金利が優遇される貸金業もいるようです。
借入額、借入期間、月々返済額が同じ条件であれば金利が低い程支払い額は減少します。
借り換え・おまとめローン利用の4つのメリット②:月々の返済額と支払利息の減額
そして、上記の図表のように借り換えローンやおまとめローンを利用することで、多くの場合は約定金利を低くすることが出来、また、返済期間を変更しない場合は支払利息を減額することが可能になる場合が多くあります。
金利が下がることで月々の返済額と支払利息も減額することが借り換え・おまとめローンの大きなメリットとなります。
しかし、この場合も金利が低くなるからと飛びつくのではなく、返済期間や月々の返済金額をシミュレーションし、求めているメリットが得られるかを確認しましょう。
借り換え・おまとめローン利用の4つのメリット③:他の目的での借り入れが出来ない
借入をしたことで返済に苦しんでいる毎日を過ごしている状態は一日でも早く抜け出したいものです。
しかし、一度付いてしまった借金癖からはなかなか簡単に抜け出せるものではありません。
「現在の借入が返済出来たら、借金は二度としない」
「カードローンを利用するのはこれを最後にしたい」
このように考えていても、人間の意志は脆く、お金があるとついつい使ってはいけないお金だとわかっていても「これくらいなら」と手を出してしまうことも多くあります。
しかし、借り換えローンやおまとめローンは資金使途(融資金を利用できる用途)が「他社からの借入の借り換え」のみに限定されている場合がほとんどです。
つまり、他の資金用途目的で利用することが出来ない借り入れとなりますので「借りたお金を他の目的で使い込んでしまった」等という借金癖の付いている人にありがちな失敗を限りなくゼロに出来ます。
それを補完する方法として、「借り換えを引き受ける金融業者が顧客名義で現在の借入を全額振込返済する」方法をとることが一般的ですので、顧客は実務的なことの手間いらずで、借り換えを完了することが出来るのです。
また、借り換えは金利や返済額が減少することから「顧客にとって一方的に有利となる借り換え」となりますので、総量規制の例外となり、年収の1/3を気にすることなく借り換えを行うことが出来ます。
銀行カードローンについては銀行法によって管轄されているので、そもそも総量規制の枠組みから外れています。
借り換え・おまとめローン利用の4つのメリット④:信用情報に傷がつかない
借金問題の解決方法として司法書士や弁護士に相談すると進められることが多いのが債務整理という方法です。
詳細は他の記事で紹介していますが、債務整理を行うと信用情報に異動情報と呼ばれる傷がつきます。
この異動情報は事故情報とも呼ばれ、一般的には5年以上の期間、信用情報機関に保持されることになります。
この期間に他の借入を行いたい場合、審査に通過できなくなる可能性が非常に高く、新規でクレジットカードの作成が出来なかったり更新をすることが出来なかったりします。
しかし、借り換えローンやおまとめローンは信用情報上では単なる新規の貸し付け(融資)という扱いとなりますので、事故情報とはなりません。
これは、借り入れ後の生活を考えるうえでもメリットが大きいものと言えます。
もちろん、借り換えやおまとめローンを利用しても状況が改善できない場合は、債務整理という手段を検討することも必要となると考えなければいけません。
fa-check-square-o債務整理についての詳細はコチラ!!
fa-check-square-o信用情報の開示について詳しくはコチラ!!
アイフルのおまとめローンでの返済シミュレーション
では、アイフルのおまとめローンを利用する場合、どのように返済シミュレーションを実施すればよいのでしょうか。
アイフルホームページ上での返済シミュレーションの流れは以下の3種類のシミュレーションが可能となっています。
- 各月の返済金額を知る
- 返済回数を知る
- 借入可能額を知る
アイフルのおまとめローン返済シミュレーション①:各月の返済可能金額を知る
まず1種類目は各回の返済回数を知ることの出来るシミュレーションです。
借入希望金額、返済回数(選択する実質年率に応じて最大回数が決まっています)、実質年率を選択し、シミュレーションすると月々の返済額の予定表がシミュレーションされます。
このシミュレーションにより、おまとめ後の返済額をシミュレーションすることが出来、返済イメージを掴むことができます。
アイフルのおまとめローン返済シミュレーション②:返済回数を知る
このシミュレーションは借入希望金額と実質年率を入力すると返済回数と返済金額を一緒にシミュレーション出来ます。
おまとめローンを利用する際に返済回数を調整して、生活計画の目途を立てることが可能となります。
アイフルのおまとめローン返済シミュレーション③:借入可能額を知る
最後のシミュレーションは月々の返済額と実質年率を入力することでアイフルから借り入れることの出来る参考金額をシミュレーション出来るものです。
おまとめローンを利用する前に現在の生活の中で返済できる金額と実質年率を入力することによって、おまとめするべきかの判断材料として利用することが出来ます。
アイフルの返済シミュレーションはどのパターンの利用でも「返済金額表」を同時出力されることがメリットとして大きいです。
現在の借り入れ状況などを入力して比較すれば、どの程度返済負担が変化するかも確認することが出来ますので是非一度利用をしてみてください。
借り換えローンとおまとめローン、どちらが得なのか
では、借り換えローンとおまとめローンはどちらを選ぶとお得なのでしょうか。
それは、「現在の借り入れ状況に応じて異なる」というのが現実的なところです。
先述もしましたが、例えば現在、複数の借入がある場合は「おまとめローン」の方が金利を下げられ、返済日もまとめることが出来、メリットが大きくなります。
一方、1社のみの借入である場合、他社の金利や月々の返済額と比較してお得な条件の「借り換えローン」を見つけて利用する方がメリットがあります。
よって、以下のポイントに留意し、商品を選択するべきであると考えられます。
fa-check-square-o現在の借入の約定金利よりも金利が下がる
fa-check-square-o毎月の返済額が無理のない範囲に収まり、減額される
fa-check-square-o返済期間が同じか、短くなる
fa-check-square-o融資極度額が現在の借入総額より大きい枠になっている
これらの項目を参照しながら、インターネット上にも広く存在している返済シミュレーションを利用して利息計算や返済回数を計算し、比較することでどの商品が自身の状況に合っているのかを把握することが大切です。
現在の借入に困っている場合は、今回の記事の内容を参考に、借り換えローンやおまとめローンを検討してみることが打開策になるのではないでしょうか。