
今週(4月14日)のガイアの夜明けでは、各社しのぎを削る携帯業界で新たに参入した「fa-arrow-circle-right楽天」に密着。
docomo、au、ソフトバンクの大手3社が多くのシェアを握っている中、楽天はどのようにして顧客を獲得しようとしているのだろうか。
楽天グループが総力をあげて挑む一大プロジェクトに迫る!!
目次
【総務省】大手携帯キャリアのシェア1位はどの会社??
2019年12月20日、総務省により携帯電話の契約数におけるシェア率をまとめた「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データ」が発表された。
その内容によると、国内における携帯電話の契約数は「1億8,096万台」となっている。
大手キャリアの契約数をまとめると、次のようになった。
■大手キャリアの携帯電話シェア率
- 1位:NTTドコモ(38.1%)
- 2位:KDDIグループ(27.9%)
- 3位:ソフトバンクグループ(21.4%)
そんな大手携帯キャリアを驚かせているのが、第4の携帯電話会社と言われるMVNOサービスだ。
第4の携帯「格安スマホ」MVNOサービスのシェア率は??
最近、「格安スマホ」として大手キャリアと異なる層の人気を集めている「MVNOサービス」。
同発表によると、MVNOサービスの契約数は「2,298万」。
大手キャリアの契約数「1億8,096万台」と比較するとまだまだ差は広がるが、MVNOサービスのトップが今回の主役の楽天だ。
■MVNOサービスの携帯電話シェア率
- 1位:楽天モバイル(18.3%)
- 2位:インターネットイニシアティブ(14.0%)
- 3位:NTTコミュニケーションズ(10.9%)
- 4位:オプテージ(9.2%)
- 5位:LINEモバイル(5.3%)
大手3社の半額以下!!格安スマホの「楽天モバイル」
楽天は創業20年で売上高1兆円を突破している企業。
2020年4月、インターネットショップサイトなどを経営する「fa-arrow-circle-right楽天」が携帯事業に参入した。
「fa-arrow-circle-right楽天モバイル」が開発したオリジナルスマホは、名刺サイズの小ささで重さは79グラムと軽量ながらもカメラ機能が付いている。
さらに、楽天モバイルの売りは大手3社の半額以下という料金プラン設定ということ。
楽天が携帯事業に参入した理由は何なのだろうか。
楽天は1997年に立ち上げた「楽天市場」のほかに証券会社や旅行サイトなどを次々に買収し、グループを拡大してきた。
現在では約70個のグループを展開し、会員数が1億人以上を突破。
グループのサービスを多く使っている人を携帯事業に参入することで、さらなる利用者の囲い込みをしようというのだ。
東京都に住む丹さん夫婦はクレジットカードや楽天beautyなどの10個の楽天サービスを利用しており、ポイントの還元率は12.5%。
丹さん夫婦は欲しいものがあると1.2ヶ月前からリストアップしているという。
インターネット通販で年4回、楽天スーパーセールという大規模なセールを行っている。
そのタイミングで必要なものをまとめ買いすることで、ポイントを大幅還元を狙っているのだ。
例えば、6個セットで4606円の柔軟剤を購入すると1565ポイントのキャッシュバックを受け取ることができる。
世界が注目する「Rakuten」はFCバルセロナのメインスポンサーだった!!
2019年2月、三木谷社長が訪れたのはスペインのバルセロナ。
androidやサムスンなどの大手海外携帯メーカーが集う中、「Rakuten」もひと際注目されていた。
Rakutenのモニターに映るのは、スペインの人気サッカーチームFCバルセロナ。
実は、Rakutenは年間5500万ユーロ(約65億円)の契約金を使っており、スペインでは「Rakuten」の認知度は74.5%と絶大な効果を得ているのだ。
この楽天の知名度を利用して携帯事業に参入しようとしており、楽天のアンテナを利用すれば他の通信会社の半額以下で利用できるようになることを主張している。
参加者達は「革新的だ。実に興味深い」と評価は好評。
三木谷社長は今後の国際展開も含めた布石を今のうちに打っておく、という手に出たのだ。
格安スマホの逆襲!!自前の通信網を飛ばすため、グループ総動員でアンテナを確保!!
楽天が携帯事業に参入しようとする理由には、過去の苦い経験があった。
楽天は「格安スマホ」として携帯事業に参入したのは2014年。
格安スマホの通信は大手キャリアの回線を借りるため、通信量に制限がかかってしまった。
通信量が限定されたことにより、当初1000万件の契約目標が4分の1以下の230万件に留まったのだ。
しかし、2018年4月より自前の通信網による携帯事業の参入が認められるようになった。
そこで楽天は2019年2月に電波試験をスタートし、大手の半分の工期で設置できるアンテナを開発した。
楽天モバイルは、国との取り決めとして東京・大阪・名古屋を中心に3432本のアンテナの設置をしなければならなかった。
グループの人脈をフル活用し、楽天市場のお客や楽天トラベルのホテルと交渉するなど、総動員でアンテナの設置に取り組んだ。
スペイン・バルセロナでの講演は大好評も大好評で、右肩上がりを期待された楽天だったが、ある問題が起こった。
今回、設置できるアンテナの基準は「100m以下の場所」と定められており、東京・丸の内周辺の低層ビルはすでに大手に抑えられ、設置できる箇所がほとんどなかったのだ。
丸の内には高層ビルが多く、低層のビルも限られており、西側が皇居のためアンテナを立てる場所も限られている。
アンテナの設置場所に苦戦した楽天モバイル。
社員や工事会社を混合させた9名の特別案件対応部「SWAT」を立ち上げた。
特別案件対応部「SWAT」始動!!リーダーは28歳の若手女性社員
特別案件対応部「SWAT」のリーダーに任命されたのは法政大学を卒業後、楽天に入社した女性社員である戸田さん(28歳)。
楽天市場に出店する海産物を担当し、半年で売上を60倍にした経験を持つ凄腕だ。
3年後には最年少でマネージャーに昇進。
戸田さんは「会社のマインドとして、決められたことは期限内に絶対にやる。(だから)プレッシャーは特にない。こういうのが好きなので。」とアンテナの確保に自信がある様子。
しかし、2019年10月にサービス開始予定だったが、アンテナ設置の遅れを問題視され、総務省から3回の行政指導を受けてしまった。
これにより、2019年10月にサービス開始が延期になってしまった。
アンテナの数が少ないと、場所によっては電波が圏外になってしまうことも。
全てのユーザーが安さを重視しているわけではなく、繋がりやすさを重視しているユーザーにこのままでは不満が生まれてしまう。
そこで、急遽「SWAT」を9名から150名に大幅増員。
アンテナが1本もなかった東京丸の内にアンテナを立てることができた。
大手のアンテナの隙間を見つけて、粘り強く交渉を続けてきたのだ。
「待ち時間をゼロに」楽天携帯ショップの革命!!
携帯ショップといえば、店舗によっては平日・休日問わず混んでいることも。
大手の携帯ショップでは2.3時間待つことが当たり前という店舗もある。
楽天はそんな客のストレスを軽減し、大手から客を奪おうという狙いも。
マーケティング本部の井上さんが任されたのは「待ち時間をゼロ」にすること。
デジタルを利用して、接客の効率やお客の理解度を上げるというのだ。
例えば、手元の端末を手に取り「プラン」を押すとプラン料金が表示され、店員を呼ばずに必要な情報を得ることができるなど、契約時の面倒な手続きの短縮。
しかし、連動していることに気付かないお客もいると指摘され、井上さんは端末の中にすべての情報を詰め込むことにした。
その代わりに、これまで店員が読み上げていた重要事項の読み上げを動画にし、店員が居なくても必要事項を確認できるようにした。
また、楽天が開発した手のひらサイズのオリジナルスマホ「Rauten Mini」も好評。
名刺サイズの小ささで重さは79グラムで、2万800円をお手頃価格。
これにより、これまで1時間30分かかっていた携帯電話の契約も楽天MVNOなら最短18分で終えることができる。
楽天は今後、人工衛星による通信網の構築を計画している。
昨今、大手キャリアやMVNOサービスが「安さ」や「データ通信無制限」などの各社の売りをアピールしている携帯事業。
次々と新しい事業が参入する中、各社の戦いはこれからも続く!!