どんな業界にも売り上げのトップを誇る会社がある。
例えば、お茶業界では“お〜いお茶”と“伊右衛門”が売上げのトップで、ラクトアイス業界では“スーパーカップ”を“チョコモナカジャンボ”が2強として高い売上げを誇っている。
そんな業界のエースたちはどのような戦いを繰り広げているのだろうか。
今週のがっちりマンデーでは、森永卓郎さん、やくみつるさんをゲストに迎え、「業界の2強」の“がっちり”の秘密に迫る!
業界のツートップならではのバチバチなバトルの裏側とは?!
さまざまな業界で君臨する業界のトップ。
1位の背中を追いかけていた2位の商品が、気付けば1位に躍り出ていたなんてことも良くある光景だ。
緑茶業界にも言わずと知れた業界ツートップがある。
fa-arrow-circle-rightサントリー食品が販売する「伊右衛門」とfa-arrow-circle-right伊藤園が販売する「お〜いお茶」だ。
この2商品はお互いにお互いの商品についてどう思っているのだろうか。
2017年度の売上げでは「お〜いお茶」が158億円で第1位を獲得し、「伊右衛門」は惜しくも2位の1216億円となった。
それぞれはお互いのことをどう思っているのだろうか。
実際に社のお茶を試飲してもらうと伊右衛門の担当者は「お〜いお茶のような商品が好きな人もいますね。」という余裕を見せ、お〜いお茶の担当者は「こっち(お~いお茶)の方が飲み慣れている来年は“お〜いお茶”がトップになっている。」と強気な様子。
今では業界のツートップとしてしのぎを削っているが、かつては「お〜いお茶」が業界の1強だった。
“缶”での販売が大ヒットの伊藤園「お〜いお茶」と京都の老舗“福寿園”とタッグを組んたSUNTORY「伊右衛門」
「お〜いお茶」は、1989年に誕生した。
もともとは袋に入った「お茶の葉」を製造して販売するメーカーだった伊藤園は、香り豊かな緑茶として190gの「缶」として販売し始めた。
缶といえば甘いジュースというイメージであったが、お茶の缶は新しい商品としてヒットし、「お〜いお茶」の販売の翌年(1990年)には伊藤園の年間売上は500億円に達した。
古くから販売されている「お〜いお茶」のファンは、「日本人の口に合っている」や「昔から飲んでいるからやっぱり“お〜いお茶”」と1強の強さを話す。
一方、伊藤園の「お~いお茶」による独走に待ったをかけるのがSUNTORY。
SUNTORYの社員は「あの頃は無糖茶大競争時代」だったと振り返る。
SUNTORYは1981年にウーロン茶を販売していたが、それ以外は失敗の連続だったという。
SUNTORYはちゅごく熟成茶の「塾茶」や、和風ブレンド茶の「のほほん」あだどの新商品を次々と販売。
しかし、SUNTORYの“烏龍茶”以外は全く売れないという状況が続いていた。
そこでSUNTORYは自社だけでなく、京都の老舗“福寿園”とタッグを組んで「伊右衛門」の開発を行った。
2004年の3月に販売が開始された伊右衛門の「謳い文句は20種類以上の茶葉をブレンドした本格緑茶」だ。
そんな伊右衛門は通常1000万ケースを販売すれば大ヒットと言われているが、3400万ケースを販売した。
「伊右衛門」の販売から2か月後、伊藤園も新商品「お~い茶お茶 濃い味」の登場!
伊右衛門の大逆進に伊藤園はただ指をくわえて見ていたわけではない。
伊藤園は2004年3月に「伊右衛門」が販売されてから、わずか2か月後に「お~い茶お茶 濃い味」の販売を開始した。
これにより、「お~い茶お茶 濃い味」は年間1700マンケースを売り上げるヒット商品となり、伊藤園の売り上げをグッと伸ばすこととなった。
さらに、2005年からより高い香りを求めるため、茶葉の見直しを開始した。
そして「お~い茶お茶」の茶葉を専門で作る農家と契約を結んだ。
戦いのカギは“にごり”!?「お〜いお茶」VS「伊右衛門」
「お〜いお茶」VS「伊右衛門」のトップ争いはいつまでも気が抜けない。
そんな中、香りを求めるユーザーが増え、2011年からお茶業界にあるトレンドが生まれた。
それが、「濁りブーム」だ。
その先駆けとなったのはコカ・コーラの販売する綾鷹だ。
どちらのお茶も長年、美味しいお茶を追求するために研究と改良を重ねられているが、「濁りブーム」が戦いのカギに。
ランキングサイトfa-arrow-circle-rightgooランキング(グーランキング)に2019年7月末に発表した調査によると、結局一番おいしい「ペットボトル緑茶」ランキングは次のようになった。
順位 | 銘柄 |
第1位 | 綾鷹(コカ・コーラ) |
第2位 | 生茶(キリン) |
第3位 | お~いお茶 緑茶(伊藤園) |
第4位 | 伊右衛門(サントリー) |
第1位に選ばれたのは、ペットボトル商品では再現が難しかった緑茶本来の“濁り”を出し、まるで急須で入れたかのような味わいの「綾鷹」だった。
このように、“濁り=旨味”をアピールして販売する綾鷹の登場で、2社は全く逆の対応を見せた。
伊右衛門は抹茶の量を3倍にして、「濁りブーム」に乗り、濁りを出した。
しかし、お~いお茶は「濁りブーム」には乗らなかった。
というのも、伊藤園は1996年にクリアなお茶をつくる特許を取得しているからだ。
両社とも安協はせず研究開発を続けており、業界の2強の戦いはまだなだ続きそうだ。
アイス業界の2強!森永製菓「チョコモナカジャンボ」VS明治「エッセルスーパーカップ」
業界のツートップが奮闘しているのはお茶業界だけではない。
アイス業界でも、トップをめぐって巨大な戦いが長年続いているという。
アイスといえば、甘くて冷たいので子供が好きなイメージを持たれることが多く、「少子高齢化現代では売り上げが落ちてるのでは?」と思いがちだが、10年で1.4倍に拡大している。
fa-arrow-circle-right日本アイスクリーム協会によれば「アイスクリーム類及び氷菓販売金額」は2007年の約3700億円であったが、2018年は5186億円と7年連続増加している。
fa-arrow-circle-right東洋経済が発表している市販アイスのブランド・商品別売上ランキングによると、圧倒的な差をつけた第1位は森永製菓「チョコモナカジャンボ」、第2位は明治「エッセルスーパーカップ」となった。
しかし、別の調査では「エッセルスーパーカップ」が1位になるなど、ツートップ争いとなっている。
アイス業界の長年にわたる「巨大化戦争」とは!?
森永乳業は1972年にもなかの皮でアイスを包むという当時としては斬新な商品「チョコモナカ」を、明治は1991年に濃厚なラクトアイスとして「エッセル」を販売。
どちらも当時としては目新しい商品となった。
この2つの商品は「巨大化」という同じキーワードで進化を遂げていく。
「大きいことは良いこと」というトレンドができ、アイス業界は巨大化が続いていた。
明治スーパーカップは150mlから200mlへ変更し、アイスのフタも落とし蓋タイプから現在の被せタイプにリニューアルした。
森永のチョコモナカも巨大化にし、8つあったモナカの山を12に増やした
さらに、1996年にさらに1.5倍大きくし、モナカの山は12個から18個になった。
それぞれ細かい進化を遂げていたのだ。
CMや店頭などで目にすることの多いさまざま業界の2強。
トップはもちろん、ツートップであり続けるのも決して楽なことではない。