今週12月3日(火)のガイアの夜明けでは、「追跡!“マグロ激減”の謎」が追跡されていた。
日本人が大好きなマグロ。
fa-arrow-circle-right一般社団法人日本ホームパーティー協会が650名に行った調査によると、2018年の好きな「寿司ネタ」ランキングでは1位を獲得するほど。
そんな愛されているマグロが、減少の一途をたどっているという。
マグロの絶滅危機から脱したスペインの成功例や日本のマグロは減少している理由に迫る!
老若男女から愛されるマグロが消える!?絶滅の危機にある「クロマグロ」
子供からお年寄りまで多くの日本人に親しまれているマグロは、寿司屋に行っても必ず誰かが注文している人気の魚だ。
毎年行われるマグロの初セリの様子は新春を告げる“風物詩”となっているが、今年は青森県大間の“クロマグロ”が3億3360万円と市場最高値となった。
そんな青森県大間のマグロ漁が、今、減少の危機に迫られていた。
2018年11月。
マグロ漁が盛んだった青森県・大間で、ベテラン漁師である泉さんは、マグロ漁に苦戦していた。
なんとマグロが釣れない状況が2ヵ月以上も続いているという。
実は、ここ数年の大間ではマグロの群れが激減。
漁師たちはマグロを捕獲するために借金をして、高性能の探知機に切り替えるなど悪戦していた。
この日は約40隻が漁に出て、釣れたマグロはわずか4本。
大間では、マグロの水揚げ量が前年と比べて6割も激減しているのだ。
日本近海付近のクロマグロの資源量は約25年前から約1/3に減少
日本近海付近のクロマグロの数は、乱獲などによって生態系が乱れ、絶滅の危機となっている。
約25年前の1995年には、6.7万トンあったクロマグロの資源量は2.1万トンにまで減少しているのだ。
乱獲とは
そこでfa-arrow-circle-right水産庁は昨年より「罰則付きの漁獲規制」を始め、漁法ごとに漁獲枠を設定した。
30キロ以上のマグロを捕獲する場合、「一本釣り」などには1475トン、「まき網漁」には2倍以上の3153トンの枠を振り分けた。
この漁獲枠の割り振りをめぐって、"一本釣り"と"まき網"の漁師が対立することになる。
一本釣り漁に比べて、まき網漁には2倍以上もの枠を割振られ、待遇の違いに不満の声が後を絶たない。
漁獲規制の裏側にあった「ずさんな管理」と一本釣り師の想い
今年7月初旬に「まき網船」の一大拠点である鳥取県・境港のセリ場を訪ねると、そこには約600本のクロマグロが並んでいた。
クロマグロは産卵のため、6月〜7月の期間に日本海に集結する。
“産卵のため”に集まったマグロをまき網船が捕獲して、水揚げしていた。
絶滅の危機が叫ばれてるクロマグロが“産卵の準備”を行っている中、"まき網船"がマグロを大量に獲ったら大問題となる。
そんな問題を防ぐため、今年6月に全国のマグロの一本釣りや"はえ縄"の漁師が、漁獲枠の見直しを求めて東京に集まった。
一本釣り漁師たちは、"まき網船"を操業する企業の親会社へ直談判を試みる。
しかし、まき網船企業からの回答は「国の規定を守っている」という回答のみ。
ガイアの夜明けの取材班は、元まき網船の乗務員から当時の話を聞くことができた。
元乗務員の話によると「漁獲枠はいくらでもごまかすことができ、自分たちのお土産にトロの部分だけ持って帰り、後は捨てていた。1000本獲ると40~50本は死んでいた。」という。
まき網船のずさんなマグロの管理が行われているのだという。
水産庁はこういったことを知っているのだろうか。
水産庁・資源管理部かつお・まぐろ漁業室 室長である斎藤さんに直撃インタビューすると、「私の知る限り、まき網船が投棄しちえるという話は聞いたことがない」という。
続けて、「そういった情報が出れくれば、未報告ということになる。獲ったのに死んだのに投棄して報告しなかったという話なら、当然しかるべき対処はある。」とした。
マグロの絶滅危機から脱したスペインに学ぶスペイン式「まき網漁」でマグロが復活!
スペイン・バルセロナのとある人気レストランではマグロの解体ショーが行われていた。
美食の街・バルセロナでもマグロは大人気。
今では賑わっているスペインのマグロ事業だが、地中海のクロマグロも乱獲により絶滅の危機にあった。
しかし、その危機は約10年で資源量が急速に回復しているという。
いったい何が日本と違うのだろうか?
そのヒントを探るべくスペインを訪れると、あの"まき網船"が産卵期のマグロを獲っていた。
マグロ漁の解禁日、船では日本と同じまき網漁によってマグロ漁が行われていた。
まき網漁は産卵のために地中海に集まるマグロを捕獲し、群れを見つけたら大きな網で囲っており、これでは日本と変わらない。
しかし、水中ではなんと網からマグロが逃げていたのだ。
まき網船の中や水揚げの現場に「国際機関の監視員」を配置
スペインでは、「マグロを捕まえても、すぐに水揚げはしない。生きたまま港の近くまで移動させる」という。
マグロがいけすに入る様子をモニターで確認し、正確にカウントしているのだ。
カウントするのはICCATというクロマグロを保護する国際機関から派遣された監視員。
スペインではまき網船の中や水揚げの現場に、必ず国際機関の監視員を設置することが義務付けられている。
さらには2週間かけて港に運ぶことでクロマグロは移動中にも産卵することができ、畜養といって“いけすで太らせてから出荷する”ということが可能になる。
このような活動を2007年より始めたことで、約10年で地中海のクロマグロの資源量を回復させたのだ。
スペインのICCAT監視員は、日本は小さなマグロを捕獲していることが危険だという。
小型のマグロは、本来であればもっと大きく成長させて、卵を産ませなければならない。
スペインでは10年前から原則として30キロ未満の小型マグロを獲ることは禁止されており、小型マグロを獲らないことが、回復のカギになるというのだ。
日本人が愛してやまないマグロは、このままではクロマグロが絶滅の危機を迎えることになる。
いつまでも美味しいマグロを食べるために、真剣に考える時期が来ているのだ。